歌は世につれるが,世は歌につれない
とは山下達郎の名言だったが…
今日は,メルボルンのアート・センターで開催されている "Rock Chicks" という展示を見に行ってきた。
これは 20 世紀初頭から現在までのオーストラリアのポピュラー音楽の歴史を女性アーティストという側面から辿ったエキシビション。ぶっちゃけ,展示されている女性アーティスト達の名前はほとんど知らない。よく知ってたのはオリビア・ニュートン・ジョンとカイリー・ミノーグぐらいだ(我ながらヒドイ話だとは思うが,普通,こんなもんだろ)。
ただ,オーストラリアのミュージック・シーンというのは世界の中ではマージナルな存在とは言え,ロンドン辺りの影響をモロに受けていると思われるので,各時代の潮流をいち早くキャッチしてきたんだと思う。女性じゃなければ, AC/DC 辺りは別格としても, Inxs とか Crowded House,それに Men at Work なんかも世界的に売れたし,話題的には Midnight Oil なんてバンドも知られているだろう。女性アーティストはなかなかビッグネームを挙げられないけれど,個人的に最近好んで聴いている中では,マイケルの "THIS IS IT" でブロンドのギタリストとして注目された Orianthi とか,ジェフ・ベックのバンドでベースを弾いている Tal Wilkenfeld なんかがオーストラリア出身だ。
このエキシビジョンで展示されているのは,過去 100 年にわたる女性ミュージシャンたちの写真や衣装,ギターなどの楽器,レコードジャケット,ライブの自筆セットリストなど幅広く,それなりに見応えがある。しかし,やっぱり何と言っても時代時代の音が聴きたいわけだが,ビデオスポットが数か所に設置されていて,すべて合わせると 2 時間を優に超える映像アーカイブを閲覧できる。昔のポップスも悪くないけれど,やっぱり面白かったのは 70 年代のパンクムーブメントから現代に至るまでのロック。Divinyls など,パンクとか 80 年代のニュー・ウェイブの影響を受けたバンドや,90 年代グランジ以降の流れを汲む辺り(Spiderbait とか)なんかが,なかなか良かった(Spiderbait の "F○cken Awesome" のビデオクリップは "FXXX" の "XXX" の部分の音が飛ばされてるのが,仕方ないとは言え,イタかったが…)。
というわけで,映像をメインに 3 時間近く堪能してきた。確かに「世は歌につれない」かもしれないけれど,その時代の息吹や,彼女たちが時代ごとに何を伝えようとしていたのか,そのヒントは展示全体を通して浮き彫りのように見えてくるような気がする。いや,ロックが好きならこれは必見。
アートセンターにて,2 月 27 日まで。入場無料。
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