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2011年3月15日火曜日

アジアの祈り

今夜は 6 時半頃まで仕事して,その後,Etihad スタジアムにサッカーのアジア・チャンピオンズ・リーグ (ACL) 1 次リーグ第 2 節,メルボルン・ヴィクトリー対済州ユナイテッド戦を観に行った。日本にいても ACL の試合を見に行ける機会はなかなかないし,先日行なわれた第 1 戦でガンバ大阪に大敗し,監督が

もう日本のクラブとなんかやりたくないよぉ !

と弱音まで吐いてしまったメルボルンがどんな試合をするのか,という興味もあった。

試合開始直前,レフェリーや選手が入場した直後,それは起こった。

場内アナウンス…

全員御起立ください。
日本における地震と津波による犠牲者のため,
1 分間の黙とうを行ないます。


よく考えれば,アジアの大会であり,同じグループには日本のクラブであるガンバ大阪がいるし,2 週間前にはメルボルンが開幕戦を大阪で戦っているわけで,こういうこともやるよね,と思う。しかし,今日は,久しぶりに(スイマセン)まともに仕事をしたので,ちょっと脳が疲れてきたこともあって,ここまで思いが至らず,不意を突かれて胸が熱くなった。

1 分間の黙とう中,ここ数日,誰に会っても家族や友人のことを聞かれたこと,心配や不安が募ったことなどが思い出され,黙とう後に場内が大きな拍手に包まれた瞬間,流れる涙を禁じえなかった。

隣で見ていたファミリーのお父さんがそれに気付いたのか,

韓国人かと思ってたけど,日本人か ?

と話しかけてきた。

そうだよ,でも,今日はメルボルンサイドにつくよ

と答えると,

オーケイ,じゃ,一緒に楽しもうぜ

と言ってくれた。

日本のみなさん,アジア中が応援していますよ


さて,試合の方であるが,メルボルンは前半 37 分にに先制したものの 5 分もせずに追いつかれ,後半終了間際 84 分に勝ち越しを許すと,即席日豪合同サポーターの応援のかいなく,そのまま 1-2 で敗れた。前にこのチームの試合を見た時も思ったんだが,攻撃重視なのか,ディフェンスはラインではなく「点」で守っている感じで,カバーも少なく,ちょっとしたミスで相手の攻撃をフリーにしてしまう。一方の済州はある程度ラインをコントロールして,ツボでは全員で引いて守る感じで,メルボルンがロングボールで裏を取るような場面もあったものの,なかなか思うように試合を支配できなかった。サッカーは点取りゲームであるわけで,攻撃が重要だと考えることは理解できるが,それだけではアジアの壁は破れそうもない。

さて,このグループはこの 2 チームとガンバ大阪,それに中国・天津泰達を加えた 4 チームで争われる。2 位までが決勝トーナメントに進出するが,ガンバの力が一つ抜けているので,後の 3 チームが 2 位争いをすることになる。開幕して 2 連敗,未だ勝点 0 のメルボルンはかなり厳しいと言わざるを得ない。

なんか肩入れして応援してたんでモヤモヤする。…とか書いている間に,中国は天津でガンバのアウェイ戦が始まったようだ。ここはぜひ,ガンバにスカッと快勝してもらって,日本に明るいニュースを届けてもらいたいものだ。

もう一度,言おう。

日本のみなさん,アジア中が祈ってくれているよ。

2011年3月12日土曜日

May the Force Be with You

日本の状況も気になるところではあるのだが,今夜はメルボルンのタウンホールに MSO (Melbourne Symphony Orchestra) のコンサートを聴きに行った。その名も

STAR WARS and Beyond

題名から予想される通り,作曲家 John Williams の映画音楽を演奏するというもの。

いるんじゃないかと思っていたら,やっぱ,いたいた。


ちなみに,会場内でも…


この人達,この恰好で普通に客を座席に誘導したりしてて,かなり可笑しかった…

指揮者は Anthony Inglis で,このオジサンのトークとコスプレが炸裂して,非常にエンターテインメント性の高いコンサートだった。まぁ,普通,指揮者はコスプレしないと思うが…

たとえば,「スーパーマン」では,ワイシャツの下に "S" マークの青 T シャツを隠し着ていたり,スターウォーズのレイアのテーマでは,レイア姫のヅラかぶったり…などなど。帝国軍のマーチのときには,ベーダー卿もご登場。ちょっと,呼吸音が耳ざわりだったけれども。

曲はおなじみのものが多いが,映画のタイトルからどんな曲だかイメージできなくても,曲が流れると「あ,これか!」と思えてしまうから,侮れない。

しかし,日本のことも頭の片隅で気になっているので,「シンドラーのリスト」は鎮魂歌のように聞こえて泣きそうになったし,ラスト,スターウォーズのフィナーレは,被災地の復興へ向けての応援歌のようにも思えた。

遠く祖国を離れていると,家族や友人に言葉をかけたり,海外で報道されている内容を知らせてあげることくらいしかできない。なんとももどかしい気分になる。こんなことしか,言えませんが…

フォースのともにあらんことを…

ホント,気が利かなくてスイマセン。

《演奏曲目》
  1. Olympic Fanfare and Theme
  2. Jaws: The Shark Theme
  3. Lost in Space
  4. Jurassic Park: Theme
  5. Memoirs of a Geisha: Sayuri's Theme
  6. JFK: Theme
  7. Harry Potter and the Philosopher's Stone: Hedwig's Theme
  8. Far and Away: Suite
  9. Catch Me If You Can: Closing In
  10. Superman: March

    - Interval -

  11. Raiders of the Lost Ark: March
  12. Close Encounter of the Third Kind: Excerpts
  13. Schindler's List: Main Theme
  14. The Phantom Menace: Suite
  15. Star Wars: Suite
    Princess Leia's Theme
    Imperial March
    Yoda's Theme
    Throne Room and Finale

    - Encore -

  16. E. T. : Bike Ride and Chase

2011年3月11日金曜日

地震概況

今日の午後,三陸沖と茨城沖で起きた地震について,我が家の現況を報告。
  • ヨメ(横浜勤務)はJRが運行を見合わせたため,今日は帰宅できず,会社の食堂に宿泊。食料や水,毛布などの支給は受けているとのこと。
  • 小学1年の長女は家の鍵を持っているということで,下校後通っている学童クラブから,職員帯同の下,一度は帰宅。ただ,怖くなって泣きながら長男の通う保育園(アパートの真向かい)に駆け込んだとのこと。2人の子供とも夜まで保育園で預かってもらっていたところ,仲良しの友達のお宅で今夜泊めていただけることになり,先ほど,お宅に到着したとの由。とりあえずはひと安心。
  • で,僕は日本を遠く離れているので,ただ心配するばかり。ただ,携帯電話が全く通じないため,ヨメから学童や保育園への連絡を入れられず,急きょ,僕から Skype 通話で国際電話をかける羽目に。その程度の協力しかできないけれど。
  • 我が家内部の被害状況は不明だが,自宅の留守番電話に通じたので,少なくとも電話機は壊れていない模様。
  • 東京の僕の研究室は…わからないけど,まぁ,いいや。でも,学校には帰れなくなった学生たちが泊まっているとのことなので,心配ではある。
というわけで,ボクの周囲では,幸い今のところ,大きな被害は起きていません。

取り急ぎ,以上,報告まで。

追伸: やっぱりクジラや雲は地震の前触れだったんですかね?

2011年3月7日月曜日

Save NZ Part2

あまり大した協力ができていないので,心苦しいのですが,クライストチャーチの復興に対し,メルボルン在住の日本人の間で支援プロジェクトが立ち上がりました。というわけで,以下の通り,告知します(公開されている文章をそのまま掲載します。)。


NZクライストチャーチ復興支援企画

メルボルン在住の日本人有志が中心となって「Save The Kiwi Project(以下SKP)」をスタートしました。

クライストチャーチ震災復興支援を目的とした募金活動を行います。

募金の寄付先
NEW ZEALAND RED CROSS
2011 Earthquake Appeal 
http://www.redcross.org.nz/

SKP のメンバーはメルボルンで生活をしている社会人や留学生などの有志の団体です。「自分達に何か出来る事は何か?」それを考え「自分達が今、クライストチャーチ復興支援に関してできる事をしてをしていこう」そんな気持ちを持った有志の集まりです。


「+643 Charity Market at Melbourne」

SKP 企画の第一弾としてマーケットを行います。また、この企画に引き続き4月には音楽やアートのチャリティーイベントを開催予定です!少しでも多くの募金が集まる様に皆様のご協力をお待ちしております!!

今回は、日本語学校の Japaneasy のご協力を得てそのスペースでバザー&マーケットを開催致します。ぜひ、ご家族やご友人などとご一緒にお気軽ご来場ください!

       +643 Charity Market at Melbourne
       開催日:2011年3月19日(土曜日)
       開催時間:午後2時~6時
       開催場所:Japaneasy

                    Level 4 126 Russel Street
                    Melbourne Vic 3000

もし身の回りの不要品などをバザーへ出品または寄付していただける方がいらっしゃれば復興支援の募金活動のためにご協力宜しくお願い致します。ご自宅で使わなくなったモノ・倉庫や押し入れの中、タンスの中などで眠っているモノなどを有意義に活用してみませんか?

雑貨、洋服、靴、アクセサリー、本、雑誌、DVD、CD、食器、小物類、ゲーム、スポーツ用品、キャンプ用品、おもちゃなどなど皆様のご協力を宜しくお願い致します。

※会場のスペースなどの都合もありますので、サイズの大きなモノ(家具など)のお持ち込みはご遠慮下さい。
※電化製品などはお手数ですが、動作確認した上でお願い致します。

バザーと同時に会場内にマーケットスペースをご用意いたしますので
出店希望者の方はぜひご連絡下さい。(出店条件:売上の一部を募金のための寄付とする事)


◆バザー・マーケット概要◆
  • ドネーションバザーエリア
    このエリアでは皆様から提供されたアイテムを販売致します。このエリアでの売上は全額をNEW ZEALAND RED CROSSへの寄付と致します。
  • マーケットエリア
    不要な物の処分はしたいけど、全部を寄付するのは難しいという方へマーケットエリアを設置します。

開催当日売上の10%をNEW ZEALAND RED CROSSへの寄付と致します。

※ブースの数に限りがありますので、申込先着順とさせて頂きます。
※ブースは90x60cmの机+若干のスペースの予定になっています。



ドネーションエリアへの出品寄付に関して

当日、Japaneasy へ直接お持ち下さい。午後 1 時から現地にて受付いたします。また、当日会場へご来場できない方で出品寄付をご希望の方は CITY の IAE 留学ネットまでご持参ください。その際は、事前に担当者までメールにてご連絡をお願いいたします。

IAE Level5 250 Collins Street Melbourne
TEL: 03-8626-9340
月~金 9:30~18:00
担当者:ナオキ

email: savethekiwi @ live.jp (←全角文字を使用しています)

※ IAE へのご持参が困難な方はメールにてスタッフまでご相談下さい。


マーケットエリアへのお申し込み

件名を「マーケット出店希望」とし、下記の必要事項と合わせてメールにてお申し込み下さい。

     マーケット出店責任者名
     住所
     連絡先(自宅、携帯)
     出品内容
        (例:小物、クラフト用品、雑貨など、
              ある程度のジャンルがわかる範囲で)


申込先メールアドレス
savethekiwi @ live.jp (←全角文字を使用しています)


Save The Kiwi Website
http://plus643.gjgd.net/


ご質問などイベントに関するお問い合わせ及び募金などに関するご相談は
savethekiwi @ live.jp 宛に e メールで宜しくお願い致します。


2011年3月7日
Save The Kiwi Project 実行委員代表
和田 直樹
伊集院 利彦

2011年3月6日日曜日

世界で見る日本Part2

さて,今日も昨日に続いて 2 つのイベントをハシゴ。両方とも,メルボルンにいながらにして,日本のことを考えさせられるイベントだった。一つは僕の故郷の北海道,もう一つは住んでいる東京のことを。

まずは,メルボルン博物館へ。ここは去年行なわれた特別展「タイタニック展」を見に来たことはあるが.常設展は見てなかった。でも今日の目的は違う。午後 3 時から,アイヌ民族のパフォーマンスがあるというのである。しかも今回オーストラリアを訪問したのは,有名なエカシ(長老)である浦川治造さんを含む御一行。日本でもなかなか見られないものをこんなところで目にする機会に恵まれた。公演では,一時間以上にわたって,ムックリやトンコリなどの演奏,カムイユカラの披露,最後は会場の全員が参加しての踊りと内容も充実していた。


オーストラリア人はあまりアイヌのことを知らない(少なくとも僕の横にいた女性には僕がいろいろ説明した)ようなので,興味深いようだった。それに,アイヌとアボリジニの間には共通点も多く,日豪の先住民族として,文化交流を行なうことにも深い意義はあるだろう。

パフォーマンスを表面的に観ただけでは,アイヌの何たるか,アボリジニとどう類似していて,どこが違っているか,などはわからないと思う。ただ,今日は公演の後にドキュメンタリー映画「TOKYO アイヌ」が上映されたということなので,それを見ると,おぼろげに何かが伝わったのかもしれない。

しかし,同じように文字を持たない民族であるアイヌとアボリジニであるが,これらの民族を先住民族と認める動きはオーストラリアに比べて日本が圧倒的に遅れているように思える。歴史的には白人がオーストラリアを発見し,アボリジニを発見するより,和人がアイヌを発見した方が遥かに古いにも関わらずだ。

さて,上のドキュメンタリー映画,僕は都合により見ることができなかった。というのは,今夜はもう一つ重要な映像作品を見ることになっていたから。その映画とは,2006 年のイラン映画,ジャファール・パナヒ監督作品

『オフサイド・ガールズ』(Offside)

邦題はちょっとアレなんだが,素晴らしい作品だった。日本でも 2007 年に公開されているので観た方も多いだろう。2006 年ドイツワールドカップのアジア最終予選,イラン対バーレーンの試合が行われているテヘランのアザディ・スタジアムが舞台。スタジアムは女人禁制であるイランで,サッカー狂の女の子たちがあの手この手でスタジアムに潜り込もうとする。男装をした彼女たちが警備員につかまったり脱走したり,のドタバタを描いたコメディだが,一方でイスラムの戒律の中で女性が抱える問題を鋭く描き出した社会派の傑作である。

映画の中では,「日本人の女の子はスタジアムで試合を見られるのに」とか「私の友達が日本対イラン戦で死んだ 7 人のうちの一人だった」というようなセリフが出てくる。日本対イラン戦の試合後,興奮したイラン人サポーターが出口に押しかけ多くの死傷者が出たのだ(この事件については,こちらが詳しい。)。ちなみに,ジーコジャパンはテヘランで行なわれたアウェーのイラン戦は 2-1 で負けている。一方,この映画の舞台となったバーレーン戦でイランは勝利を挙げ,最終戦,横浜での日本との直接対決を待たずに,日本とともにワールドカップ出場を決めている。映画では,イラン代表のマハダビキアやアリ・ダエイ,カリミ,ハシェミアンらの名前も出てきて,アジアのサッカーを知る者はより楽しめる。

おっと,話がそれた。

で,この映画の監督,ジャファール・パナヒ氏の名前に見覚えのある方も多いだろう。昨年の暮れ,反体制的なプロパガンダを行なったとして,懲役 6 年,加えて 20 年間,映画製作,脚本執筆はおろか,海外への渡航,国内外のメディアのインタビューに応じることまで禁じるという判決を受けたことが報じられた。50 代の監督にとっては死刑にも等しい判決だ。彼がしたことは単に「劇映画」を撮っただけなんだが。今年のベルリン国際映画祭では,彼の解放を求めることを目的として,彼は審査委員の一人として招待されたことも記憶に新しい。今回のメルボルンでの上映も,彼の拘束に抗議する行動の一つというわけである。

しかし,日本でも,イランほどではないものの,表現を規制する不穏な動きがあることは何とも気持ちが悪い。東京都議会で可決された法案は表現そのものを規制するものではないとは言え,この波が日本国内に拡散し,拡大解釈されることで,どのような恐ろしい未来が待っているのか,ちょっと想像したくない。その意味でも,この春の都知事選は重要である。選ぶのは我々だ。心してかかれ。

2011年2月25日金曜日

SAVE NZ

ニュージーランドはクライストチャーチの大地震。

連日,日本でも報道されている(と思われる)ので,みなさんの関心も高いことだろう。

実は,この地震が起こる数日前から,空に真っ赤な夕焼けが確認されたり,クジラの大群が打ち上げられていたり,という異常現象が起こっていたらしい。(僕は平野美紀さんのブログで知りました。関心ある方はご覧あれ。)

こういう現象は過去の大地震のときにも確認されていたという報告があるらしいのだが,科学的に因果関係があるかどうかはよくわからないらしい(専門家の方がいたらコメントください)。

ただ,地質学的,生物学的な根拠は分からないまでも,過去に遡って大量のデータを取れば,この因果関係が確率的にもっともらしいかどうか検定することくらいはできるだろう。あるいは,原因と結果の関係を確率を用いて記述することで,ベイジアンネットかなんかを使って予測することくらいはできるんじゃないだろうか(→どうスか?某同僚)。

ただ,地震などの災害予測というのは,「災害が起こるよ!」と報じることで,人々がパニックを起こさないよう,慎重を期す必要があるから,単に確率だけで議論するのは危険極まりないとは思うが…

ま,こういうことは先のことで,とりあえず,今,我々にできることはたくさんある。

今,皆さんにできることをしてみてください。
取り急ぎ,上の 3 つだけピックアップしましたが,その他,追加すべきところがあれば,コメントをお願いします。

2011年2月23日水曜日

外様

今朝の新聞に気になる記事が載っていた。オンライン版はこちら。

オーストラリア国内における人種差別に関する調査結果。オーストラリアは,言うまでもなく,白豪主義という暗い歴史を抱えているわけだが,現代においても様々な差別が存在するようだ。その対象は,アボリジニだけではなく,ムスリム,アジア,ユダヤなどにも及ぶ。

調査結果によると,ムスリムに対する差別意識があると回答したのが何と 48.6 %!これは驚くべき数字だ。先住民に対する数値 27.9 % をはるかに凌ぎ,ほぼ 2 人に 1 人がイスラム教徒に対する差別意識を持っていることになる。まぁ,昨今の政治的な要因も無視はできないんだろうけれども。

でも,差別することはないだろ。

我々アジア人も他人事ではない。アジア人に対する差別意識は 23.8 % でユダヤ人の 23.3 % とほぼ同じ。アジア人に対する差別意識が顕著なのはゴールドコーストやケアンズがあるクイーンズランド州が最も多く 27.9 %。次いで,シドニーのあるニューサウスウェールズ州が 27.2 % だ。ケアンズやシドニーはメルボルンに比べても日本人居住者や観光客が多く,ケアンズに至っては,1 ブロック歩けば日本人に出会うような有様。ひょっとすると外様が我が物顔で歩く様子が現地人の嫌悪感を誘発しているんだろうか??

一方,メルボルンのあるヴィクトリア州はこの 2 州より少し少なく 19.7 %。それでも,およそ 5 人に一人はアジア人に対する偏見を持っていることになる。なるほど,そうなのかぁ。

と,数値を見ると,

何じゃ!この国は!?けったくそ悪い!

という気もしないではないのだが,冷静に考えてみると,日本で同じような調査を行なっても似たような結果が出るんじゃなかろうか。イスラム教徒や,同じ東アジアの国である中国人や朝鮮人などに対してだ。

今,政府は大学や高専などの高等教育機関に留学生の受入増を推奨している。その多くが東アジアや東南アジアから入ってくることだろう。将来的には東京なんて,現在の状況に輪をかけて,多国籍文化溢れるメトロポリタンへと変貌していくに違いない。それに,日本にだって先住民族は存在するわけだ。さて,我々日本人の意識はどんなものなんだろう。

そう考えると,まったくもって他人の庭の話ではないという気がする。

オーストラリアで暮らしていても,この数字ほど,日本人に対する差別意識を感じることは多くない。大体,みんなフレンドリーでいいやつらだ。でも,表面に現れるところではなく,本音でどう感じているか,ということ。それと,非常に強い差別意識や思想を持つ層が確かに存在している,ということは否定できないだろう。

まぁ,オーストラリアの場合,そもそもは白人が外様だったわけで,問題はさらに深いわけだが…でも,これはそのまま北海道にも当てはまる…やはり他人事ではない。

2010年12月15日水曜日

真夏のクリスマス・前編

こないだ,ウチのガッコのホリ先生からメールでこんなことを聞かれた。

南半球でのクリスマスって
全く想像がつかないのですが,
サンタさんは、本当に半パンはいて
サーフィンして現れるのですか?

うん,まぁ,聞きたくなるよね。ホントにそんな人が現れるかどうかは,クリスマスまで待たないばなんないが,印刷物なら探すのは比較的簡単だと思った。

子供にクリスマスカードを送ろうと思って,どうせなら,オーストラリアならではのステレオティピカルなやつにしようということに。 しかし,本屋に行ってもグリーティングカード専門店に行っても,夏のクリスマスっぽいのは売ってない。どこに行っても,トナカイが引くそりに乗ったサンタだとか,モミの木に雪だとか…そんなんばっかり。なんだよ,それ…

思ったんと違う。

…ってか,

事実と違う。

ところが,ある日,別件で郵便局に行ったら,やっとありましたがな…


これだよこれ。これが欲しかったんだよ。でも,なんで,他んとこには全然売ってなかったんだろ?? 多くのクリスマスカードが Made in China だったり…なんて可能性もあるが…それとも,オージー的には,ステレオティピカルな「夏のクリスマス」のイメージを払拭したかったりするんだろうか? なんていうか,

やっぱ,クリスマスって冬でしょ

っていうオージーの憧れの現れなのかな?? …しかし,君らがいくらあがいても,ここでは雪なんか降っちゃくれないんだよ。…残念!!

とにもかくにも,印刷物でならご所望のサンタがいましたよ,ホリ先生。

リアルサーファーなサンタクロースに出会えるかどうかは,後日,「後編」をお楽しみに。

2010年12月1日水曜日

隠すということ

隠すということは教育ではない。

そもそも隠そうとしても隠しきれるわけがない。

何かを隠すことで人を教え導くことができると考えている人がいるとしたら,それは,地球が平らな円盤でできており,縁は滝になっていると真顔で説くことと何ら変わりはないのではないだろうか。

今日は何の話かというと,東京都の青少年健全育成条例改定について。

「NO」と言える男がまたしても「NO」と言ってしまったことに対し,さまざまな反対声明が出されていることは,各種報道で皆さんご存知の通り。マンガ家やペンクラブによる反対声明に加え,日本共産党の都議団も公に反対の見解を発表している。規制が検討されている具体的な表現内容についても,条文の検討,批判がなされている。

この辺りは,素人の出る幕ではないと思うし,既に数多く展開されている議論をなぞっても仕方がないので,自分の守備範囲で自分なりの見解を述べたい。

誤解を生まないために,まずは自分自身の立ち位置を明確にしよう。この条例改定案には絶対反対。ただ,すべてのものを無規制で垂れ流して良いと言っているわけではない。業界による自主規制や第三者によるレーティングまでは妨げない。自主規制やレーティングも基準があいまいだから反対という人もいるだろうし,自主規制という旗印の下に,無害であったはずの作品が闇に葬り去られてきた歴史も確かにある[1] が,僕はその存在そのものを否定するつもりはない。仮に自主規制やレーティングが「悪」であったとしても,それは「必要悪」だろうというのが僕の考え方だ。

例えば,我が国の映画の場合,業界団体ではなく,第三者委員会である映倫(映画倫理委員会)が審査を行ない,G, PG12, R15+, R18+ の 4 区分にレーティングしており,映倫の審査が終了しない限り,全興連(全国興行生活衛生同業組合連合会)加盟の劇場では上映できない[2]。

さて,このような業界やサードパーティによる規制ならまだしも,行政や自治体が規制に乗り出すことにはやはり違和感がある。事実,日活の「太陽の季節」[3]が,当時の文部省が規制法案策定へ動き出す一因となり,それを阻止するために映倫が組織されたことを思うと,今,都議会で起こっていることが何とも皮肉に思えてならない。

現在,提案されている条例案は,特定の表現への規制にも言及しているようだが,そもそも憲法の規定の下に「表現」が「自由」である以上,コンテンツの性質によりいかなる規制をかけようとも,その裏をかくような「表現」がクリエイターにより創出されて,いわゆる「イタチごっこ」が繰り広げられることは想像に難くない(注)。その結果,規制の範囲はどんどん広がって,本来保証されるはずの自由が奪われていくことにつながりかねない。そういう意味で,表現されるものの性質により法的規制を加えることにはそもそも無理がある。

彼らからしてみれば,法や条例で規制するのはもっとも簡単で,かつ,一見,有効に見えるのかもしれない。しかし,その裏で,これはもっと大きな問題を孕んでいる。

例えば,子供たちが,規制されているものを一切見ることも聞くこともできないとすれば,どのようなものがなぜ規制されるのか,その理由や背景について考え,議論し,教え説く機会が奪われかねない。このことは,単に教師や親が,これらの問題を議論の俎上に挙げる機会を削ぐだけでなく,ひいては,隠ぺいによる教育の硬直化をも引き起こしかねない。中世から現代に至るまで,同様の問題で人類は多くの悲劇を経験してきたではないか!

本来,見聞きすること自体が問題ではないはずで,程度の差こそあれ,見せた上で,それをどう捉えるか,問題だとすれば何が良くて何が悪いのか,そこで議論が生まれるべきである。そこに教育が入り込む余地がある,いや,入り込むべきなのだと僕は思う。ネットや携帯の問題にしても同様だが,何を見せて,そこで何を子供たちに教え,伝えていくのか,その選択権が教師や親による教育の現場にあってしかるべきだ。もちろん,それが容易ではないことは理解しているつもりだが,これは親や教師に与えられたある種の使命であって,我々が果たさなければならない責任なのだろうと思うのだ。

今回の条例改定は,そのような教育の機会を奪う危険性を大いに孕んでいる上に,教育の冒涜にも他ならないことを,ここで声を大にして訴えたい。

あるいは,彼(ら)は,「教師や親はそのような教育を行なう必要は一切ない,すべては行政が解決するのだ」とでもいう時代錯誤も甚だしい,のぼせ上った考えを抱いていたりするのだろうか?

今回の一連の騒動を見ていると,前世紀初頭に小説「われら」[4]でザミャーチンが痛快なまでに批判した,かつての大国の姿が都の姿に重なって見えるようだ。

もし,この条例が可決され,このような規制の下で育った子供が教育者や親になったとき,どんな社会がやってくるのか,想像すると少し怖い。仮に,そんな恐るべき未来を小説のような形で表現したとしたら,この条例によって,ザミャーチンのように規制や弾圧を受けることになるのだろうか?


《参考文献》
[1] 森達也(著), 放送禁止歌,  知恵の森文庫 (2003).
[2] キネマ旬報映画総合研究所(編),映画検定公式テキストブック, P.204, キネマ旬報社 (2006).
[3] 古川卓巳(監督), 石原慎太郎(原作), 太陽の季節, 日活 (1956).
[4] ザミャーチン(著), 川端香男里(訳), われら, 岩波文庫 (1992).


(注) この辺りは酒税を巡る第三のビール問題とも関連する。この意味で僕は日本のビール業界の努力を極めて高く評価する。

追記:
今,僕の住むオーストラリアにも,もちろん,レーティングはあるが,実はこちらは政府主導の機関が審査していて,区分も E, G, PG, M, MA15+, R18+, X18+ と日本よりも細かい上,テレビ番組や CM も対象で,印象としては基準も日本よりキツイ感がある。ただ,日本では恐らく見られないだろう映像をこの国で見ることは可能だし,E から M まではテレビでの放映も可能だったり,運用面では,若干のユルさがあるのもお国柄かもしれない。あくまでも,僕の個人的な憶測にすぎないけれども…

2010年11月15日月曜日

少女は電気羊の夢を見るか?

もう 3 年も前のことになるが,ひょんなことから,女子中学生に向けた理数系公開講座プロジェクトを任されることになった(「ひょん」な理由は余りにも「ひょん」なので,ここでは伏せておく…ところで,「ひょん」って何だ?? まぁ,いいや)。文科省から 2 年間予算をもらって,いろいろやったわけ(「いろいろ」の内訳はここを参照)。今は,同様の事業は文科省から JST に移ったみたいだが,いずれにしても,科学・工学系の女性研究者や技術者が少ないってことで,政府主導で今でもさまざまな取り組みが行なわれている。

こっちに来てから,他のビジターの先生方とも同じようなディスカッションをしたことがあるが,どこの国でも,理工系の学部における女子学生の比率は,平均するとせいぜい 20% くらいが関の山らしい。

で,今朝の新聞でこんな記事を見た。


どうやら,year 12 だから,高校 3 年生に当たる年代を対象とした数学に関する調査で,女子生徒の成績が男子生徒の成績に及ばない,という結果が公表されたっていうような内容。まぁ,こういう調査の結果をどの程度鵜呑みにするかは注意を要するんだとは思うが,ただ,さもありなんと思わせる結果ではある。もちろん,こういうところに先天的なジェンダーギャップはないんだろうし,多くの場合,育つ過程における環境的要因の方が大きいんだろうとは思う。それがまさに,僕らが取り組んできたプロジェクトの背景にもあったはずだ。

記事の中では,女子生徒は携帯の外見には関心を示すけれども,中身には興味がないみたいな記述もあった。ウチの学校の学生や卒業生,あるいはウチのヨメなんかを見てると,錯覚を起こしそうになるが,一般的には確かにそうなんだろうね。

こういう問題に対する取り組みの背景には大きく分けて 2 種類の考え方があると思う。一つは,できるだけ性差を埋めましょうという考え方,もう一つは,そもそも優れた技術者や研究者が不足しているから,これまで人口が少なかったところに救いを求めましょうという考え方だ。僕自身は,政府の取り組みの背景や,僕ら自身のプロジェクトの背景には,後者の影響がより強いんだろうと理解している(もちろん,違う考え方の人もいるとは思うけど)。

本当に優れた能力を持っているのに,それに気付かないで来ている人材がいるとすれば,そこを開拓することには大きな意味があるだろう。一方,性差を埋めましょうということが目的化して,仮に(あくまでも仮に)興味もない子に無理やり押し付け教育をしてしまうようなことがあったら,それは本人にとっても社会にとっても不幸なことでしかない。これは女子に限った事じゃなく,男子にだって同じことで,行き過ぎるとセクハラの問題になりかねない。

さて,じゃぁ,我々にできることは一体何だろうと考えると,子供たちに対して,より広い選択肢,より広い世界を見せてあげることなんじゃないかと,やっぱり思う。当たり前のことだけれどね。そこで,何を面白いと思うか,どこが自分の生きる世界なのかを知るってことは,子供たち自身に委ねられるべきだ。ちょっと「オズの魔法使い」的なメッセージかもしれない。かくいう僕だって,最初からこういう道に進もうと思っていたかというと,はなはだ怪しいし,最初のきっかけは本当に小さなことか,あるいは錯覚にも似たもので,そこからいろいろと見聞きするうちに,関心がどんどん高まってきたんだろうと思う。錯覚でもいいから,最初のきっかけをつかむことができるか,つかむとしたらどういうところに出会いが待っているのか,ってことがミソなんだろうな,やっぱり。

科学や工学の分野の話は,ともするとトリッキーになりがちで,一般受けするというよりは専門家やマニアに向けたものになる危険性を大いに孕んでいると思う。でも,医療の分野ではインフォームド・コンセントの考え方がある程度浸透して,例えば薬の名前だったり,その効果や副作用だったり,ということについて,一般市民の認知度が昔に比べてかなり高まっているんだろうとは思う。これは科学や工学でも同じことで,我々が享受しているテクノロジーの細部について,一般的な認知度がもっともっと高まらなければならないんだろう。

そういった意味で,少なくとも僕自身が重要だと思うのは,直接ジェンダーギャップの問題を解決するということではなく,もっと普遍的なものだという気がするんだよね。これは,例のプロジェクトを進めているときから漠然と思ったいたことで,問題の本質はもっと深くて広いんだと思う。

ちょっと違うかもしれないけれど,例えば,僕らの親の世代が IEEE 802.11n って何かを理解するような社会になれば,何かが変わって見えるんだろうか??

2010年9月29日水曜日

没個性の脅威

書いているご本人は予想外の反響に戸惑われているようだが,HMV 渋谷店が閉店したことに関するブログエントリ(HMV渋谷閉店にまつわる僕の見解)が twitter などを介して盛り上がりを見せている。 これを書かれた加藤さんの意図とは少しずれることを承知で,最近思っていたことを少し書かせてもらう。

メルボルンに来てからずっと思っていることだが,本や CD を手に入れようと思うと,思いのほか苦労する。まず,大きな本屋が少ない。それから大きな CD ショップも少ない。僕はどちらかというと,ウィンドウショッピング派ではなく,あらかじめ心に決めたものを一直線に買いに行く派なので,店に行って欲しいものが見当たらないと,それなりにフラストレーションを感じる。大体,僕の欲しいものは,メジャー路線を微妙に外したところのものが多いので,よくこういう状況に出くわす。だから,日本でもここでも,ネットショッピングをすることが多くなる。

だけど…だけどだ。僕の持っている本や CD の中には,店をぶらぶらと歩いていて,偶然目に入ったものを衝動買いして,それが今でも自分にとって大切になっているものが少なくない。だから,本屋や CD ショップがなくなることには一定の危機感を覚えている。

本屋で店頭に平積みになっている本,CD ショップで店員による手書きのポップが張られたディスク…確かにこういうところにショップの個性が出るものだし,我々情報を享受する側としては,メディアに晒されていない隠れた名品に出会う楽しさがある。

今住んでいるこの街で,CD ショップや本屋をぶらぶら歩いていても,そういう感動にはまず出会えない。どこの店に入っても,棚に置かれてある商品はほぼすべて同じ。これならネットで十分だ。というか,ネットの方がまだマシだ。

自分の領域に引き込むようでアレだが,これは本や CD に限ったことじゃない。たとえば,僕が昔住んでいた街に小さな酒屋があって,そこの主人は自分の趣味で地方の地ビールや地酒を取り寄せて細々と売るコーナーを設けていた。「こんど,これ,入れてみてよ」なんてお願いしてみると,翌週には入荷していたり,なんてこともあった。こんなこと,街の量販店ではあり得ない。

それから映画。僕は学生時代を札幌で過ごしたが,15 ~ 20年前の札幌の映画文化は地方都市としてはかなり恵まれていて,当時,単館系などと呼ばれたりした独立系の作品やアート映画なども,東京より少し遅れはするものの見ることができた(もちろん,すべてではないが…)。○○監督の△△って映画があるらしい…なんて話を聞くと,「あぁ,それなら,狸小路 X 丁目の☆☆あたりで上映するだろうなぁ」なんてことを思ったものだ。

HMV 渋谷店に限らず,多かれ少なかれ,本にしろ,音楽にしろ,そして酒にだって,以前はもっと個性的で,店主や店員の顔が見えるショップが多かったような気がする。映画館の場合は状況はもう少し複雑だろうが,フィルムのセレクションに館主の意向が大きく反映されることも少なくなかった。これらを失うことは,我々にとって見かけよりももっと大きなものを失うように感じられてならない。

加藤氏は書いている。「結局は,人なんだよ」。そう,結局は人なんだ。だけど,人から個性や情熱を奪うような要素が確かに存在して,それらが複雑に絡み合って現在のような状況を作り上げている,ということも言えると思う。そういった要素,状況に,情熱がどこまで抗うことができるか,これは文化や情報を発信する側だけの問題じゃなく,受け取る方の立場としても,肝に銘じておかなければならない命題だと思う。

取り返しのつかないことになる前に…

2010年9月27日月曜日

せーふ

昨日,航空会社 Virgin Blue のチェックインシステムがメルトダウンして,オーストラリア全土で 20% くらいの Virgin Blue 便が欠航,それ以外の多くの便にも遅れが出たらしいですよ(新聞記事はこちら)。

土曜日の夕方,僕がキャンベラからメルボルンに帰る時乗った便も Virgin Blue だったが,もし日曜日に帰ることにしていたら,エライ目に会ってたってことだ。セーフ!!

しかも,もし日曜日に帰ることにしていたら,Don の家は土曜日の午後から誰もいない状態で,下手すると僕が留守番して,動物の世話させられる羽目になってたかも…って客一人残して出かけることはしないだろうから,その場合は,キャンベラ市内に宿泊することになってたんでしょうな。

今日になっても,一部の便に遅れが出てるってことで,最悪の場合,今もキャンベラにいたかもしれませんね。何にせよ,無事に帰って来られて良かった良かった。

2010年9月10日金曜日

9年前の明日

は,ニューヨークで同時多発テロがあった日ですね。僕はニューヨークにいたわけではないけれど,この日のことを良く覚えている。

この月の初め,2001 年 9 月 1 日に,僕は電通大から東京高専に移った。それで,9 月 11 日は,学科で僕の歓迎会が開かれていた。呑み会が終わって,家に帰り,テレビを見ると,大変なことになってたってわけだ。

もうひとつ,この出来事をヴィヴィッドに記憶している理由がある。

この 9 月の後半に僕は国際会議に出るために中国に出張した。その時に利用した航空会社がユナイテッド航空。ロスから成田を経由して北京へ向かう便を利用した。出張からの帰り,北京から成田へ戻ったのが 9 月 30 日。このとき,機内でこんなアナウンスが流れた。

ユナイテッド航空は,本便を持ちまして,
すべての中国路線の運航を終了いたします。
皆様,長らくのご利用,ありがとうございました。

とか…(正確ではないと思うが,大筋はそんなようなことね)

もちろん,今は飛んでる(よね?)し,ユナイテッドは,よく飛ばしたり止めたりするみたいだから,珍しいことではないのかもしれないが,このときの撤退は明らかにテロの影響によるものだったわけで,その意味で,記憶に残っているというわけ。

それにしても,もう高専に来て 9 年か…

2010年8月22日日曜日

学位の価値

今朝の新聞にちょっと気になる記事が…


オーストラリアには,主に州が所有する TAFE (Technical and Further Education) という学校が 100 以上ある。中等教育以降を対象にした職業訓練のための専門学校で,設立理念や形式は日本の高専に似ている。事実,ウチの学校もヴィクトリア州の TAFE と国際交流をやってたりする。

記事の内容は,TAFE が建築,看護,IT,経理その他の分野で,大学と同等レベルの学士 (bachelor) の学位を与える計画をしていることに関するもの。これに対して大学側に反対意見があるという話。

反対派の根拠は
  1. 多くの学生が学士コースを履修することで,学士の価値が薄れる。
  2. 私立大学が多くの留学生を抱えて破綻した例があり,TAFE でも同じ現象が起こることが予想される。
  3. TAFE は低所得者層からも多くの学生を受け入れているが,学士を取得するために必要な資金は一般の大学よりも高額になる。
  4. 学士のための教育に力を注ぐことで,本来の職業訓練的な性格が薄れることが懸念される。
などなど。うーむ,どこかで聞いたような話だ。大学の学士レベルにどのくらいの価値を見出すかってことにもよるけれども,特に 1. に関しては,我が国の大学院教育に対して起こった議論に似ているなぁ。言葉は悪いが,アホを多く受け入れてどうするんだという…。その意味で,日本の学部教育ははるか昔に価値を失くしているかもしれない。2. と 3. はオーストラリア特有の問題かもしれない。2. は移民政策にも関連するし,3. は日本と少しシステムが違うので,ちょっとイメージしづらい。4. は日本の高専も同じような問題を抱えていると思われる。

記事の中には,TAFE で取得した学位が,大学の学位よりも低く見られがちだとかいう記述もあって,この辺は,さもありなんとは思うが,にわかには同意しかねる。一般に,日本の高専の専攻科で取得した学位が大学の学部教育で取得したものと比べて低く見られているかどうかは良く知らないが,教えているこちらからすると,そこらの学部教育よりははるかに高い内容を学生には求めているわけで,意識としては少なくとも大学の修士レベルと同等であることを目指している。ただ日本では,高専は学位を与える機関としては認められていなくて,学位授与機構というところに申請をしないと学生は学位が得られなかったりするわけで,やっぱりある種,特異な先入観や偏見に晒されているという気がしないでもない。

まぁ,TAFE の教育レベルと高専のレベルが同じであるとは限らないので,単純な比較はできないわけだけれど,最後は,学校としてのアウトプット(つまり学生,卒業生)のクオリティをどう保つかってことになるのだと思う。大学院の定員増の時の議論と似ているけれども,最後の砦は,最前線に立つ我々教員の良心にほかならない。これは TAFE だろうが高専だろうが,大学だろうが最終的には同じことだ。時代の趨勢によって,クオリティの維持が難しくなることはあるかもしれないけれども,少なくとも我々の姿勢としてはそこで妥協しちゃいけないわけだ,やっぱり。高専の専攻科も定員増が叫ばれているから,もはや隣の庭の話ではない。

というわけで,少なくともボクんとこに来る学生は,それなりに覚悟するように。甘くないよ。

2010年8月18日水曜日

やべえ話

来週火曜日に行なう授業のスライドが完成。学生向けの演習問題も作った。ウチのガッコでも専攻科の授業では英語で資料作っているので,じょさもないこっちゃ(←北海道弁)。暗号の授業の 1 回をゲストスピーカーとして僕が担当して,「ステガノグラフィ」の概要をレクチャーします。

こっちは半期の授業が試験を除けば 12 週だそうですよ。そのうちの 1 回を僕が使うんで,本来授業を担当する Udaya さんは 11 回で済むわけだ。うまいこと考えたな…

しかし,JABEE なんかで 15 週という数字が高専でも大学でも出てくるけど,あれって根拠は何なんでしょうね? 別に回数が多けりゃいいってもんでもないと思うが…

JABEE とは何の関連もないけど,メルボルン大は 2009 年の世界大学ランキングで 36 位。日本でこれより上位にいるのは東大と京大だけ。ただ,こんな順位だって,別に「教育の質の高さ」を保証するものでは何でもない。

何か一つの物差しで客観的な評価を下そうとすると,数値やら必要条件やらをチェックするしかないのかもしれないけれども,やっぱりある種,標準化の弊害って気がするよね。ミシュランガイドなんかと同じで,ナマものを扱っている以上,客観的評価って難しいような気がするけどな,正直言って。

2010年8月7日土曜日

一歩

ヒロシマの平和記念式典にルース駐日大使が出席したそうですね。少なくとも一歩前進だ。

65 年も前のことなのに,未だに片付いていないことが数多くある。

日本にも,やらなければならないことがあるよね。

2010年7月29日木曜日

人民 4 号

次世代スパコンの愛称が決まったそうですね。「京」ですか…まぁ,無難なとこだね。

応募作品には「Ren4」とかもあったらしいね。固有名詞だからとか言って却下されたらしいケド。

たとえばさ,とりあえず今は「Ren1」にしといて,4 世代後に「Ren4」になるってのは?? 長い目で見過ぎ? そんとき蓮舫も我々も生きてないかもしれないってか??

中国語だと「人」を ren って読むから,「Ren1」を人民 1 号みたいな感じで作ってさ,いずれ人民 4 号に…

ま,どうでもいいか…

2010年7月12日月曜日

風聞

今朝,早起きしてワールドカップの決勝を観ました。スペインは試合を支配していたし ,何度か決定機もあったので,もっと早く決めてもよさそうだったけれど,難しいもんですな。セットプレーから直接狙うようなシーンもいくつかあったけれど,そのたびにこっちの中継でも「ジャブラニを扱うのは職人芸だ」ってなことを盛んに行ってて,「日本の本田くらいなもんだろう」ってな話になっていました。自国での評判はどうなんでしょうか。

日本では参院選だったんですねぇ。僕は,事前に転出届を出すのをすっかり忘れていたので,こっちで在外投票の申請ができず,今回は日本の自宅に投票券が届いてしまっていたらしい。ま,仕方ない。それに,たぶん投票しても結果が覆ることはなかっただろうし。しかし,スタンドプレーで顔を売ったら当選できるなんて,日本人の政治観の低さが透けて見えるようで,海外にいるとちょい恥ずかしいような気がするケド。

2010年6月24日木曜日

責任論

ネイチャーの誌上で,世界の科学研究者を対象にした待遇の満足度調査結果とやらが発表されたそうです。トップがデンマークで,日本はインド,中国に次いで下から 3 番目だそうですよ。やっぱり,みなさん不満なのね。まぁ,確かにこうして国の外に出てみると実感するところもありますね。こっちの研究者だって授業やペーパーワークは確かにしているけれど,日本と違うなぁと漠然と感じるのは,やったことに対するreward がきちんと与えられる,というか,そこをキチッと尊重してくれる,というところでしょうか。まぁ,権利とかプライバシーとかいったものがキチンと確立しているってことかもしれない。

日本にいると訳がわからんうちにボランティア的な事務仕事がどんどんかさんで身動きが取れなくなるようなところがありますからね。アメとムチどころか,ムチムチだもんね(違う意味にとるなよ)。研究者といってもまるで奴隷みたいな扱い。まぁ,逆にアメアメだと八代亜紀みたいで困るわけですが (??)。

まぁ,でも僕の場合は,今,授業とか雑用とか,そういう義務から少なくとも 1 年間は解放されているから,何も言う権利はないかもしれないけどね。ある意味,reward を先にもらったようなもので,ここで何もアウトプットがなかったら,それこそ何言われるかわからんからな。責任を果たさなくちゃいかんというか。なんかちょっと,身がひきしまる思いです(ホントだぞ)。

話は変わって,ワールドカップ。オーストラリアは姿を消し,ガーナがベスト 16 に進みました。アフリカは開催国の南アを含めて 6 ヶ国がエントリーしたのに,既に 4 ヶ国が脱落。もう一つのコートジボワールも厳しいから,おそらく抜けるのはガーナ 1 ヶ国でしょう。一方のアジアは韓国が残ったものの,オーストラリアと北朝鮮の敗退が決まり,4 ヶ国中,1 ヶ国になるか 2 ヶ国になるかは,明日未明の日本にかかっている。こっちの新聞の論調なんかを見ると,「強いアフリカ」は幻想だったというような話も出ていて,アフリカやアジアの出場枠を削減しようなんて話にもなりかねない。その意味では,日本が残るかどうかは現状の出場枠 4.5 をキープできるかどうかの瀬戸際なのかもしれませんね。その意味じゃ,ある意味責任が重いのかも。

まぁ,16 強に残るだけじゃなく,そこで勝てるかどうかも問題で,アジアとアフリカが 1 ヶ国もベスト 8 に残らなければ,出場枠削減論は根強く残るかもしれないけどね。

ううむ。責任論でうまく話をまとめようとしたが,今イチうまくいかなかったな。

そういえば,reward の話に戻るけれど,僕の 1 年間の旅費が明日やっと振り込まれるそうです。やっと借金(というか持ち出し)生活からも解放です。改めて,襟を正さねばね。

…というわけで,半ば強引にシメ。

2010年6月1日火曜日

Run Melbourne

7 月 18 日にメルボルンで Run Melbourne というスポーツイベントが開かれます。これにエントリーしました。10 キロコースで走ることにしました。で,毎週火曜日に無料で Training Run ができるということで,今日さっそく行ってみました。集合は街の中心部フェデレーションスクエアで,そこから MCG というスタジアムや王立植物園の周辺などを回るコースで,インストラクターがペースメーカーを務めて一緒に走るというものです。せっかくだから,今日は 10 キロを 60 分弱で走るというグループに入って走ってきました。いつもはアパートの近くの Princes Park の周りを 2 周くらい走っているので,大体 6 ~ 7 キロくらいなんですが,今日は少し長め。午後 6 時スタートなんだけれど,街のネオンやスタジアムの照明を眺めながら走るのも楽しかったですね。ペースはそれほど早くないので,いつもより長い距離でも大丈夫でした。トシだからね。無理は禁物。

ちなみに,Run Melbourne にエントリーすると,Fund Raising というウェブページが与えられて,ここで,自分への応援という名目でいろいろな団体に寄付ができるというチャリティイベントも開かれています。僕は UNICEF Australia を選択したので,右のバナーをクリックすると,そこからユニセフに募金することができます。せっかくの機会なので,僕をダシにしてユニセフに募金してみませんか?? 金額は任意に入力できるので,クレジットカードがあれば誰でも募金できます。振り込め詐欺ではないのでご心配なく。よくわからなければ,ご連絡ください。


あぁ,それと,右にブログのラベルによる分類をアップしたので,エピソード毎にご覧いただけます。たとえば,ビール以外の話はご勘弁という方は「ビールのこと」をクリックしてくださいね :-P