2010年7月31日土曜日

twitter

昨日,ある学生(東京高専の)からメールが来た。お願いがあるって言うから何かと思ったら…

twitter をやってください

だそうだ。…… どうやら,ここで豪遊していると思われているらしい。いやぁ,遊んでないとは言わないが,(一応)仕事もしてんの! あ,もとい,仕事「を」してんの! まぁ,昨日もヨメと Skype で話した時,「誰かに聞かれた時,オーストラリアで何してるって説明したらいいか」って話になって,

どうせ,映画とビールだろ

なんて言われたりしたけど…
#そうでないって…

そんなにヒマじゃないんだよ,ということで,彼女(その学生ね)を諭したものの,でも,こういうメールをもらうのはうれしいよね。

でも一日一回ブログを更新してんだから,それで勘弁してよ。

ただ,彼女いわく,僕の様子を知りたがっている学生は他にもいるみたいで,それもうれしいね。だけど,ブログにコメント書いたり,直接メールをくれたりすれば,キチンと応対するので,勇気を出して連絡してみてちょうだい。

あぁ,そうそう学生諸君よ。わかってると思うが,授業中のケータイはダメだよ,絶対。
#最後くらいは「らしいこと」を言ってみた。

あ, 100 ポスト越えた…

MIFF #10

"The Invention of Dr. Nakamats" @Greater Union 3

いやぁ,笑った笑った。

この人のことを知らない日本人はいないだろう。ドクター中松に関するドキュメンタリーである。しかも監督はデンマーク人。何でこの映画を撮ろうと思ったのか,その動機をぜひ聞いてみたいもんだ。

60 分に満たない短い映画だったが,場内は 60 分間爆笑(と一部失笑)に包まれていた。土曜の昼間ということもあって,チケットもソールドアウト。観客の満足度も高かったと思うよ。彼は自称 "the best inventor in the world" であるわけだが,この映画を観ると,むしろ "one of the best entertainers in the world" であることが良くわかる。下手なコント観るよりずっと面白いもん。

この映画では彼の数々の発明品が紹介されるわけではなく,彼の生活や,目黒雅叙園で行なわれた彼の 80 歳のバースデーパーティーの準備から当日に至るまでの様子も伝えられている。目黒雅叙園との交渉がケッサク。由緒ある「鷲の間」を一日だけ「中松の間」に変えてパーティーを挙行しようとするんだが,目黒雅叙園の方からなかなか許可が下りない。そりゃそうだ。その結末はぜひスクリーンで確認してほしい。ちなみに映画はほとんどが彼自身の英語による説明で進められる。ただ,日本語の部分だけでなく,英語で話しているところにも英語字幕が付いているのがまたちょっと可笑しい(まぁ,英語に関して人のことは言えんが…)。

ナントカと天才は紙一重というが,まさに彼のことだろう。彼の発明には珍品もあれば("Love Jet" なんて絶句だ…),確かに価値の高いものもあるんだろう(ん? "Love Jet"も価値は高いのか??)。でも,彼の最大にしてもっとも価値のある発明は「発明家・ドクター中松」彼自身であると言える。この類稀なるアイコンを作り出した功績はいろいろな意味で大きいと言っていい。それに,この映画自体も,「通常の半分の上映時間で 100 倍笑える」とすれば,偉大な発明と言える。ん? でもこの場合は監督の発明品になるのか??

彼は 144 歳まで生きると公言してはばからない。僕にしたって,それをこの目で確かめることはできないと思う。ただ,24 時間、365 日絶えることなく彼の生活や行動を見続けることができたら,脳も体もリラックスして確かに長生きできるかもしれない。ただ,それを実証できる者は,世界中に彼をおいて他にいないことが何よりも問題だ。

ちなみに,通常,★の数を数えて欲しいんだが,この映画に関しては,☆の数で評価して欲しい。偉大なる発明家に愛をこめて。せーの,「なかま,TWO!!」v(^^;

The Invention of Dr. Nakamats
(2009 年 / デンマーク / 57 分 / ドキュメンタリー)
監督:Kasper Astrup Schröder
出演:ドクター中松 (Dr. Nakamats)

☆☆☆☆☆☆☆☆★★

2010年7月30日金曜日

MIFF #09

"Film Socialisme"
@ACMI (The Australian Centre for the Moving Image) Cinema 2

アルバム『冒険王』に収録された南佳孝の代表曲「Peace」の中で,「彼女」は,ゴダールの映画は難しいから嫌いだ,という。ゴダール,コルトレイン,ショートピース。学生が背伸びしてたしなむ代名詞のような気もする。かくいう僕も学生時代,初めてゴダールの映画に触れた時,何だか良くわからないながらも興奮して,わかったようなわからないようなことを言っていたような気がする。ただ,映画を「解読する」っていう見方があるんだということもその時知った。

僕はゴダールの信者でもなければ熱心な探究者でもない。背伸びをしても仕方がないので,以下ではアホだと思われることを承知の上で,自分なりに思うことを書く。

というわけで早速だが,僕にとってのゴダールは,四川省で食った激辛の火鍋に似ている。食った直後は,いやぁ,もうご勘弁と思う。あれで僕の消化器系は完膚なきまでに破壊されたわけだが,しばらくすると,またちょっと試してみたいような気にさせる。そんな感じ。

『映画史』を観た時,最初は緊張してスクリーンに対峙し,そこで繰り広げられる映像と音,言語の洪水を自分なりに読み解こうともがいた。しかし,映画の中盤で,僕の脳はほとんど思考を停止した。そこから先はもうどうしようもないので,その溢れる情報の洪水の中に,ただ身を浸すことにした。ところが,これが意外と心地よかったりするのだ。もちろん,正直に告白すると辛い時間帯もあった。でも,一見不規則にも見えるが,その実計算されている情報のコラージュに,思考を止めたはずの脳が間欠的に再起動するのだ。頭をリラックスさせるってことが重要なのね,と思ったりもした。

たとえば,交響曲を聞く時,個々の楽器の音に耳をすます聞き方と,全体として組織された音を楽しむ聞き方があるだろう。『映画史』で僕が最後に取った方策はまさに後者であったわけだ。解読はそのスジの人に任せて,自分はあるがままに感じ取ればいいかと。ただ,結局,その後「あるスジの人」の解読など読むこともなく過ごしてしまったのだが…

こんな言い方もできる。現代の生活に携帯電話は欠かせないが,携帯で話しながら Slepian-Wolf 符号化について考えたり,通信路符号化定理を思い起こす庶民は決して多くないはずだ(情報理論研究者にだってそこまでのジャンキーがいるかどうか!?)。それと同じことだ。

というわけで,今回も一映画庶民として,映像と音とナラティヴの洪水に身を任せようと決めて臨んだ。すると,上映前にこんなアナウンスが。「監督の意向により,一部のダイアログからは英語字幕を削除してあります。」だと。そうか,言語は理解しなくてもいいんだ。その意味でいうと僕の見方は実は正しいのかも,なんてことを思って見始めたんだが,いやぁ,やっぱり火鍋だ,こりゃ。でも,今回興味深かったのは,音と映像が乖離して,その浮いた音が次のカットに引き継がれて,というように,水に浮かんで夢を観ているような不思議な感覚を味わえたこと。ときどき思い出したように英語の字幕が入るんだが,途中からそれもあまり読まなくなった。ある種のトリップ状態で観てたかもしれない(寝てたわけではないぞ,言っとくけど)。

いずれにせよ,稀有な映像体験をできたことだけは確かだ。知的好奇心として,坂本龍一や浅田彰がこの作品をどう評するか聞いてみたい気はする。このあたりのユルさが,映画的庶民としては正しいでしょ? 違うか??

今,観終わってから 5 時間くらい経た時点でこれを書いているけど,実はちょっともう一回観たい気がしてきている…そういえば,Swanston St. に四川火鍋の店があったなぁ…

Film Socialisme (邦題:ソシアリスム)
(2010 年 / スイス=フランス / 101 分)
監督:Jean-Luc Godard
出演:Catherine Tanvier / Christian Sinniger / Jean-Marc Stehlé    / Patti Smith
★★★★★★★☆☆☆

MIFF #08

"City of Life and Death" @Forum Theatre

何を隠そう,今回の映画祭で僕が一番見たかった作品がこれだ。

南京大虐殺を描いた陸川監督による中国映画『南京! 南京!』である。

見たかった理由は 3 つある。1 つは,「ココシリ」を撮った監督の新作を一映画ファンとして純粋に見たいと思ったこと。もう一つは言うまでもない,議論の余地はあれど,一日本人として見ておくべき作品だと考えたから。そして,最大の理由は,ここで見ておかなければ,二度と見るチャンスに恵まれないかもしれないという危機感からだ。事実,日本公開されるというニュースを昨年耳にしたものの,それ以降,日本国内で具体的な動きがある気配はなさそうだ。

この映画は劇映画である。このことは,あくまでもこの作品が作家による創作物であることを意味している。しかし,その一方で陸川監督らはそれ相応の調査を行なったであろうから,歴史的事実に基づいている,ないしは事実にインスパイアされて描かれている部分も少なくないと推測できる。

しかし,2 時間を超えるフィルムを見終わった今,ここで描かれていることが事実かどうか,そんなことはどうでもよいという気がしている。なぜなら,この映画の存在自体が事件だと思うからだ。

誤解しないでほしい。この映画が日中両国において議論の的になることが必至であるから事件だと言っているわけではない。そうではなく,この映画が類稀な力強さに溢れていることがある種の事件性を帯びているように感じられるのだ。

これまで戦争映画は腐るほど見てきた。しかし,戦争の悲惨さと狂気をこれほどまでに生々しく描き出し,人間の尊厳をヒリヒリと痛いほどに問うた作品を,少なくとも僕は他に知らない。それゆえの事件だと思う。地獄絵図とはこのことかという驚くべきショットにも溢れているし,何より驚いたのは中国人である陸川監督が,極めて冷静に日中双方の視点からこの物語を紡ぎだしているところだ。日本側の視点から描かれたシーンが多く,それに関する監督への批判も多いようだが,僕はそうは思わない。むしろ,このくらいのさじ加減でなければ,戦争の虚しさをこれほどまでに際立たせることはできなかったのではないだろうか?

日本人キャストやスタッフも多く参加しているが,その割に我々から見るとおかしなシーンや不自然な部分も少なくない。しかし,この力強さの前では,そんな些細なことを指摘するのは無粋というものだろう。

今回,この作品に出会えて本当にラッキーだったし,日本の多くの映画ファンがこの作品を観ることができないとすれば,それこそ悲劇だ。同じアジアの隣国が生み出した歴史に残るマスターピースを観られないなんて,我が国における芸術文化の荒廃にもつながりかねない。

それゆえ,本作の日本国内での公開を僕は強く望むし,多くの人に観てほしいと思う。

議論するのは,映画を観てからでも十分だ。違うだろうか?

City of Life and Death (原題:南京! 南京!)
(2009 年 / 中国 / 135 分 / 白黒)
監督:陸川 (Lu Chuan)
出演:劉燁 / 高圓圓 / 范偉 / 中泉英雄
第 3 回アジア太平洋映画賞最優秀監督賞

★★★★★★★★☆☆

2010年7月29日木曜日

MIFF #07

"Pianomania" @Forum Theatre

プロの仕事を見た。

この映画は,ピアノの調律師に関するドキュメンタリー。ピアニストたちは,イメージにある音を追及して,次から次へと無理難題を投げかける。調律師はそれに応え,時にはトリッキーな仕掛けをしたり,ミリ以下の調整を行なったりする。プロとプロが良い音を求めてしのぎを削る現場を実直な撮影で追った作品だ。映像は極めてオーソドックスで何ら奇をてらったところはないが,題材だけでグイグイ魅せる。

ピアニスト Pierre-Laurent Aimard が J.S. バッハの「フーガの技法」をレコーディングする 1 年前から録音終了までを柱にして,一人の調律師 Stefan Knüpfer がさまざまなアーティスト達とコラボレーションしていく様子が描かれていく。

可笑しいのは,ときどきボヤくところだ。そりゃそうだ。ピアニストたちの要求は時にムチャクチャだったりする。1 年前からレコーディングの準備をしてきて,前日になって別のピアノを試そうと言われたり,微調整に次ぐ微調整をして臨んだ録音の結果,やっぱり前のチューニングに戻そうということになったり。しかし,ボヤきながらも,ミッションを次々と達成していく。アーティストとの駆け引きはある種のサスペンスにも満ちていて,その緊張感はこちらにも伝わってくるが,時に彼のボヤきがこちらの緊張をほぐしてくれる。

妥協を許さないプロの音楽家と,それに応えるプロの技術者。たった一つしかない完璧な音を求める調整作業は,彼の言葉を借りると一種の scientific research だという。そうなんだよ。当たり前のことなんだが,我々もプロである以上,この水準に到達し,かつ維持しなくちゃいけないんだよ。研究者としての自分は甘っちょろい妥協に溺れていないか? エンドロールを眺めながら,彼らの姿を反芻して,胸に何かがグサリと刺さるような感じがした。

Pianomania
(2009 年 / オーストリア=ドイツ / 93 分 / ドキュメンタリー)
監督:Lilian Franck / Robert Cibis
出演:Stefan Knüpfer / Pierre-Laurent Aimard
第 62 回ロカルノ国際映画祭批評家週間賞

★★★★★★★☆☆☆

人民 4 号

次世代スパコンの愛称が決まったそうですね。「京」ですか…まぁ,無難なとこだね。

応募作品には「Ren4」とかもあったらしいね。固有名詞だからとか言って却下されたらしいケド。

たとえばさ,とりあえず今は「Ren1」にしといて,4 世代後に「Ren4」になるってのは?? 長い目で見過ぎ? そんとき蓮舫も我々も生きてないかもしれないってか??

中国語だと「人」を ren って読むから,「Ren1」を人民 1 号みたいな感じで作ってさ,いずれ人民 4 号に…

ま,どうでもいいか…

2010年7月28日水曜日

MIFF #06

"The Trotsky" @Forum Theatre

自らをトロツキーの生まれ変わりと信じている高校生レオン・ブロンシュタインが主人公。自分の名前がトロツキーの本名と同じであることもあって,彼と同じ行動をとることに執着している。一言で言えば,イカレポンチだ。青臭いイカレポンチ。ただ,おかしいのはそんな彼が工場主であるブルジョアの息子であること。そんな父親の経営する工場でハンストを決起して逮捕され,父親の怒りを買い,公立高校へ転校させられる。映画では,その顛末が描かれる。

テイストとしては,カラッと明るくもほろ苦い青春ものという感じで,アホの巣窟みたいな公立高校に転入した彼が,トロツキーと同じように年上のアレクサンドラという女性と出会ったり,学生組合を起こそうと奮闘したりする姿を描き出していく。ちょっとこんな映画に出会ったことはないが,左翼版フットルースといった感じだろうか? 伝わるかな? それで。いずれにせよ,劇場が爆笑に包まれ,多くの観客が極上のエンターテインメントとしてこの映画を楽しんでいたことは事実。

ただ,この映画が他の娯楽作品と一線を画しているのは,「革命」を重心に置いていることだろう。主人公の少年は学生組合を立ち上げることで,退屈と無関心に包まれた学校に革命を起こそうとする。初めは誰も気にも留めない,というか,彼の主張を誰も理解できないわけだが,そのうちに彼のシンパが生まれ始め,しまいには自発的にアジテーターへと変貌していく者が現れる。このプロセスがオモロ恐ろしい。彼にそそのかされたわけではなく,自らの言葉で他の学生を扇動し始める学生が出始める辺りを描きこんでいるところがこの映画の恐ろしいところと言える。過去の歴史をなぞりつつ,来るのかどうかわからない未来を予見するようなこのシーンは,おかしいと同時に少し背筋に冷たいものが走る。一見,娯楽作品に見せかけているが,このカントク,ただものではないかもしれない。映画の中には左翼系映画ファン(そんな呼称があるかどうかは別として)をニヤリとさせる仕掛けもあり,楽しませてくれる。

ただ,思想的なことはさしおいても,一人のイカレポンチの言動,行動がトリガーになって,無気力と退屈に包まれていた学校,これを社会の縮図と言ってもいいのだが,それを変えていく,という物語という風にとらえれば,我々の住む現代社会にとっては,極めて普遍的なテーマとも言える。現代の都市生活者に対するアンチテーゼと捉えることもできよう。

いずれにせよ,一見,さわやかな青春エンターテインメントと見せておきながら,社会的・思想的問題提起をしているように見える辺りが,一筋縄ではいかないものを感じさせる佳作だとは思う。たださぁ,やっぱり,クライマックスは青臭すぎるだろぉ。20 ン年前なら僕も陶酔したかもしれないが,いやぁ,どうかな…やっぱ青いと思うぞ。…って,こっちがトシとっただけか??

あぁ,それから,僕の定義においては,この作品は「セクト映画」には当たらないので,念のためリマークしておく。てか,誰もそんなこと気にしないか。

The Trotsky (邦題:少年トロツキー)
(2009 年 / カナダ / 114 分)
監督:Jacob Tierney
出演:Jay Baruchel / Emily Hampshire / Anne-Marie Cadieux / Geneviève Bujold
第 22 回東京国際映画祭コンペティション部門観客賞

★★★★★★★☆☆☆

2010年7月27日火曜日

多様性の功罪

今日届いたキネマ旬報のメールマガジンでこんな記事を読んだ。ある映画試写会で,上映中,参加者に twitter へアクセスしてもらい,書き込まれたツイートをスクリーン脇に設置したディスプレイに映すという試みが行なわれたそうだ。このことの是非が議論になっている。ちょっと去年の高専プロコンで最優秀賞を獲ったウチの学生の作品を思い出したよ。あれは 2 ちゃんの書き込みをテレビにテロップで挿入するってやつだったけど。まぁ,目の付けどころは似てる。

映画ファンの中にはこういうのを忌み嫌う人もかなり多いだろうと予想される。3D とか吹替え版だってどうか,というのが議論になるくらいだし。まぁ,僕だって,こんなサービスがあったって参加しようと思わないし,こういうことをしている試写会や映画館にわざわざ行きたいと思わない。でも,数はどうあれ,これを面白いと思っている人がいるとすれば,それを全否定するのはどうかとも思う。

もちろん,すべての映画館,すべての上映でこういうことが普通の形式になったら,そりゃ困る。これは 3D とか吹替えも同じこと。同じコンテンツでも 3D 版と 2D 版,吹替え版と字幕版の両方があれば,僕らは選択できる。それが重要なのだ。

考えてみたら,映画界にしたってビジネスチャンスにつながる可能性もある。いくら割引制度を工夫したり値下げをしても,映画人口はいっこうに増えていないらしい。おそらく割引しても,元々映画に行っていた人たちが利用するのであって,新たな顧客開拓にはつながっていないんだろう。だとすれば,これまで映画館なんかに目を向けなかった層を開拓するための工夫が必要になる。そのためのチャレンジとして,今回の twitter みたいな試みはユニークだと言えなくもない。記事を読んだ限りでは,今回の試写会の主催者側が何を狙ってこういうことを行なったのかまではよくわからなかったので,映画界のために,とか,映画人口を増やすために,なんてことは考えていないかもしれない。でも,映画観客層の幅,すそ野を広げることが,延べ観客数や興行収入の増加につながるはず,という気もするのだが。

同じようなことが映画館での飲食にも言える。日本の映画館では,飲食は禁止,あるいは他の観客の迷惑にならないよう注意して,というのが普通。ところが,僕のいるメルボルンの映画館では,どこに行っても,みんな何か食べたり,ワイン片手に映画を楽しんでいるし,上映中に大声で笑ったり,つぶやき声が聞こえてきたりもする。ところが,これが意外と楽しい。そこにいる全員で見ているという臨場感がある。僕の世代ではもうわからないことだけど,昔の映画館ってそんな感じだったんじゃないんだろうか??

とにかく,ここの人達にとっては,映画を見に行くという行為が日常的なイベントとして確立しているという気がする。一方,日本では,そういったイベント性よりも作品としての「コンテンツ」自体を楽しむという方向に偏りすぎているきらいもあるんじゃないだろうか? そうだとすると,別に劇場で見なくても…なんてことを考える人たちが増えても全く不思議はないような気がするわけ。コンテンツとしての映画を楽しむ映画館があってもいいし,大勢でイベントそのものを楽しむ映画館があってもいい。まぁ,採算とか全体のバランスを考えると業界全体が団結しなくちゃいけない難しさはあるだろうけど。

映画がある限られた人たちの特別な趣味になっちゃいけない。本来(というか今だって),大して高尚なものではなく,もっと気楽に楽しめるものだったはずだ。「マナー」っていうのは,そもそも相手のことを思う気持ちが素直に現れるべきもので,画一的に決められるものではないはず。これまで日本の映画館でまことしやかに叫ばれてきた「マナー」は,一部の人達(もちろん,その中に自分も入ってきたことは十分自覚しているつもりだが)に心地よいことを押しつけ過ぎて来なかっただろうか? そのことが,それ以外の人達にとって窮屈に感じられるあまり,映画館から足を遠ざける原因になっては来なかっただろうか?

…と今日は,ちょっとそんなことをウダウダと考えてしまいました。

さて,最後にちょい仕事(かな?)の話。
研究室に最初から置き去りにされていたデスクトップ PC があったのだが,これまで特に必要も感じなかったので,ずっと放ったらかしにしてあった。でも,十分使えそうでもったいないし,日本から持ってきたラップトップ 1 台ですべてまかなうのもちょっと無理かな? と思い始めて(今頃気づいたか),今日,ubuntu 10.04 と Windows 7 をデュアルブートできるようにインストールした。プログラム組んだりちょっとした数値計算したりってのは,こっちを使えそうだ。前の住人も ubuntu 使ってたみたいだし。Windows は別に必要なかったけど,ラップトップにインストールしてある Matlab をこっちで使うこともできるかな? と思ったりして…。いずれにせよ,計算機のセットアップに時間を費やすのも避けたいので,必要に応じて少しずつ育てて行こうと思ってます。

2010年7月26日月曜日

重たいついでに…

映画を見た後,劇場から 1 ブロックのパブ Young & Jackson でビールを一杯飲んで帰ることにしました。目当ては期間限定の Young & Jackson's オリジナルの chocolate stout。前に呑もうと思ったら,品切れでありつけなかったので再チャレンジというわけ。すいませんねぇ,期間限定とかに弱いのよぉ。

カウンターで注文すると,お姉さんが「このビール初めて?」って聞く。初めてだと答えると「これはホントにいい,他のとは全然違う (distinctive)」とのこと。


どれどれ。照明のせいもあるけれど,色はご覧の通り,向こう側が見通せないくらいの漆黒です。グラスに鼻を近づけると,香ばしいチョコレートに似た香りが。別に原料にチョコを使っているのではなく,深煎りしたモルトの香ばしさと甘さが入り交じった香りが漂ってくる。この時点で期待感大。口に含むと,香りから予想されるような甘さは全くなく,強い酸味と苦みが支配的。確かに複雑で独特なテイスト。酸味は徐々に引いていくけれど,強い苦みは,喉の奥に最後まで余韻として残る。後味までしっかり苦い。これはいいねぇ。αエンドルフィンが分泌されて,また試したくなる。抗いがたい魅力があるね。日本でいうと,サンクトガーレンのインペリアルチョコレートスタウトに少し近いかも知れません。あれも僕のお気に入り。

映画に負けず劣らず,重たくて印象的なスタウト。長く残る余韻を引きずったまま,トラムに乗りました。

MIFF #05

"Cell 211" @Forum Theatre

説明を読んだり予告編を見た限りでは,痛い,重い,救われない,の 3 拍子そろったバイオレンスものだろう,くらいの印象で劇場に行った。でも,スペインのアカデミー賞に相当するゴヤ賞で作品賞を含む 8 部門を独占したってんで,ちょっと気になった。白状すると,映画祭のパスを買って,最後まで見るかどうか迷ったのがこの作品だったりする。

いや,しかし,選択は正しかった。こんな映画が劇場未公開で DVD スルーなんて,日本の映画界はどうかしてるぞ。まぁ,痛い,重い,救われない,は当たってたけど。

新任の看守が翌日からの勤務に先だって刑務所の見学に来ていたところ,刑務所内で暴動が起こる。ふとしたことから,彼は塀の向こうに取り残されてしまい,身を守るために看守であることを隠して囚人のふりをする…という展開。

勝手に名付けて申し訳ないが,僕はこの映画を「セクト映画」の一つに数えることにする。このカテゴリには,たとえば,若松孝二の『実録・連合赤軍あさま山荘への道程』や高橋伴明の『光の雨』といった連合赤軍もの,オウム真理教を追った森達也の『A』などが挙げられる。作風が全然違うじゃん,と言われかねないので,もう一つ挙げておくと,深作欣二の『いつかギラギラする日』なんかもここに加えていい。全部日本映画で申し訳ないけど。

何を言いたいかというと,密室の中で登場人物がそれぞれの思惑をぶつけあった結果,思いも寄らぬ結末へと収斂していく作品を僕はこう呼んでみたいと思うわけ。物理的に密室であるかどうかは問題ではないし,登場人物の多寡も関係ない。誤解を招かないようにもう一つ加えるならば,イデオロギーの有無も特に関係ない。それぞれの人間が,自らの行動原理に基づいて自律的に動いた結果,誰も予想できない展開を生むところに共通項がある。人間が考える動物であることに起因する負の化学反応と言ってもいいかもしれない。この作品の通奏低音も上で挙げた他の作品のそれと同じものだと僕には感じられた。

単なるバイオレンスなら,こんなに評価が高いわけない。単純な娯楽作には括れない傑作。もちろん,サスペンス,バイオレンスファンも十分満足できると思う。事実,僕は座席の中で少なくとも 3 回飛んだ。3 回飛べば,たくさんだ。

Cell 211 (邦題 : プリズン211 / 第 211 号監房)
(2009 年 / スペイン=フランス / 110 分)
監督:Daniel Monzón
出演:Luis Tosar / Marta Etura / Alberto Ammann
第 24 回ゴヤ賞最優秀作品賞 / 最優秀監督賞 他

★★★★★★★★★☆

MIFF #04

"Garbo : The Spy" @Forum Theatre

ドキュメンタリー映画には,昨日の "The Red Chapel" のように,「あぁ,そうそう,なるほどね」と思わせるものと,「ウッソだろぉ~」と思わせるものがある。この作品は,間違いなく後者。まぁ,どっちもホントなんだけどさ。

スペインのカタルーニャ生まれで,第 2 次大戦中にイギリスとナチスの 2 重スパイだった男に関するドキュメンタリー。「ガルボ」というのは連合国側,すなわちイギリス軍側が彼に与えたコードネーム。グレタ・ガルボは『マタ・ハリ』で女スパイを演じているし,彼自身もどれが本人だかわからないくらい,虚構で固められた人生を歩んでいて,考えれば考えるほど,このネーミングは絶妙。ガルボのスパイとしての実績で最大のものは,ノルマンディー上陸に関するもので,彼はナチス側に誤った情報を与え,これが連合国軍の作戦成功につながるというわけ。

その実績が歴史の重大な局面に関与しているにもかかわらず,彼自身の存在は歴史の陰に隠されたまま,あまり知られていない。この映画でも,次から次へと「ウッソだろぉ」的真実が明らかになっていく。まさに事実は小説より奇なり。戦後,彼はアンゴラで死んだことになっていたんだが,実はそれも嘘で…という展開には,もう口があんぐりと開いたまま塞がらない。

しかし,この映画の凄いところは,この驚くべき題材だけではない。映画の構成がまたイカしている。専門家や元スパイへのインタビュー映像,ニュースフィルムなんかを使うところは,よくあるドキュメンタリーと変わらないけれど,数ある戦争映画やスパイ映画,アニメなどからのフッテージを含めた夥しい数の映像素材をパッチワークのように組み合わせて,この複雑で謎に満ちた男の足跡をあぶり出していく。もちろん,ガルボの『マタ・ハリ』も登場。捻りのきいたユーモアも利かせながら,一流のミステリーのような味わいも感じられて,これは秀逸。

作品自体には関係ないけれど,上映時にフィルムの切り替えがうまく行かず,映像が乱れたのはちょっと残念だった。 今どき珍しいミスだと思うが…

Garbo : The Spy
(2009 年 / スペイン / 88 分 / ドキュメンタリー / 一部白黒)
監督:Edmon Roch
出演:Nigel West / Mark Seaman / Xavier Vinader / Aline Griffith
第 24 回ゴヤ賞最優秀ドキュメンタリー映画賞

★★★★★★★☆☆☆

2010年7月25日日曜日

MIFF #03

"The Red Chapel" @Greater Union 6

ある人がある人にメッセージを伝えたいとする。電話みたいなものを考えてみよう。ところが,通信に使う媒体が非常にノイズが多くて,何を話しているのかさっぱりわからない。そんなケースを考えてみる。工学的にはノイジーな通信路と言われるもの。こういう場合,メッセージにわざと冗長な部分を付け加えることで,正しいメッセージをできるだけ多く伝えるようにする。これが情報理論でいう通信路符号化の考え方だ。

いやぁ,アブない映画だった。デンマークの映画監督が,韓国系デンマーク人のコメディアンを 2 人連れて北朝鮮に乗りこむ。この時点で,既にかなりアブない。しかも,一人は自称けいれん症患者で,ほとんどまともにしゃべれない。この作品は,文化交流を目的として平壌でショーをするまでの間,北朝鮮当局とのやり取りやリハーサルの様子を記録したドキュメンタリー。

監督は,この 2 人をチャンネルとして,北朝鮮の人達に西洋の娯楽を伝えようとしているかのように一見見せている(もちろん本音はそこにはない)。一方,北朝鮮側は,彼らの下品な芸風(いや,ホントに下品)を何とか偉大なる指導者を讃えているかのように見せようとする。冗長な情報を付け加えるんじゃなく,ネタそのものをすっかり変えようとしているところが爆笑を誘う。一見,互いに意志の疎通を図ろうとしているように見えるが,両者のアプローチは本質的な部分で全く食い違っている。建前どうしは絡み合って,ノイジーな通信路を通して通じ合おうとしているように見えるが,本音の部分では,そもそも全く相手の方を向いていない。工学的にはプロトコルそのものが共有されていないとも言える。ひたすらコミュニケーションの失敗だけが積み重ねられていく。

ところが,これらの出来事をある種の媒介として,監督の意図だけは,見ているこちら側にヒシヒシと伝わってくる。彼は,自らの主張が観客に効果的に正しく伝わるよう,2 人の芸人と北朝鮮の政府関係者までもを巧みに操る。ここが通信路符号化に相当していると言っていい。

この映画も,マイケル・ムーア以降,数多く作られるドキュメンタリーの系譜上にあることが次第に分かってくる。最近だと「ザ・コーヴ」なんかとも同じカテゴリーに入る作品だ。この映画が伝えるメッセージを正しいものとして信じるかどうかは我々の自由だ。盲信するのはある意味危険かもしれないが,さもありなんと思わせるところがウマい。北朝鮮側も彼らの申し出を逆にプロパガンダに使おうとしているので,恐らくここで繰り広げられている出来事の信頼性は極めて高い。その意味でも貴重な記録映像と言える。

一見,爆笑に次ぐ爆笑を誘うバカ・ドキュメンタリーに見える。娯楽性も非常に高い。しかし,その本性は,ドキュメンタリーの現在形が孕む危険性を自認した確信犯による問題作だ。

The Red Chapel
(2009 年 / デンマーク / 87 分 / ドキュメンタリー / 一部白黒)
監督:Mads Brügger
出演:Simon Jul / Jacob Nossell
2010年サンダンス映画祭ワールドシネマ・ドキュメンタリー部門グランプリ

★★★★★★★★☆☆

2010年7月24日土曜日

MIFF #02

"Alfred Hitchcock's Psycho with Orchestra"
@ The Regent Theatre

今夜は Collins St. にあるリージェント・シアターで "Psycho with Orchestra" を観賞しました。『サイコ』の公開 50 周年を記念した MIFF の特別上映で,バーナード・ハーマンによるオリジナルスコアの生演奏付き。演奏するのは,このために組まれた 50 人からなる弦楽オンリーのオーケストラ The Bates Motel Orchestra ってのもなかなか良い。公演も今日の昼と夜の 2 回のみという贅沢。僕は夜の回を見ました。


まず,劇場について触れておきましょうね。もともと 19 世紀末に映画館としてその歴史をスタートしたところらしいです。19 世紀末って,映画が発明された頃だけど,ホントかな? 大規模な改修をして今のような劇場になってからはまだ 15 年くらいということで,普段はミュージカルやコンサートがメイン。そういう意味でも,ここで映画とオーケストラを合わせたイベントを組むってのは,また粋な感じがしますね。劇場内は撮影禁止なのでお見せできませんが,内装も豪華で,劇場だけでも見に来る価値のある感じでした。約 2 ヶ月ほど前,チケット発売と同時に購入したので,座席は 2 階席の最前列中央,スクリーンは真正面で,オーケストラを見下ろせるという素晴らしい位置でした。

作品については,もはや解説の必要はないでしょう。映画史上に燦然と輝くマスターピースです。僕も何度も観ているけれど,今までと全く違った環境だったので,また格別。場内が暗くなって,演奏が始まると同時にソウル・バスによるオープニングタイトルが出た時点でもうワクワク。始まってしばらくは,映像よりも音楽の方に意識が行きがちでしたが,そのうちにオーケストラの存在を全く意識しないほど映像に引き込まれたり,そうかと思うと,「こここんな音楽だったけか?」と思って,またオーケストラに意識が引き戻されたりと,スクリーンとステージの上を浮遊しているかのような,特異な体験をしました。

良く見ると,指揮者の足元にビデオモニターと時計がある。そりゃそうだ。特にこの映画は,音楽と映像のタイミングが完璧に合っていないと意味をなさないので(例のシーンとかね),指揮者の役割は重要だね。演奏している側は指揮者に身を委ねるしかないわけで,上映が成功するかどうかもすべて彼一人にかかっているといっても過言ではない。いやぁ,いい仕事してくれたと思いますよ。プログラムによると彼は一応,ステージ上ではノーマン・ベイツ役ってことになっているらしく,最後はナイフかざして帰って行きました (^^;

上映後にはアンコールもありましたよ。
何演ったかって? あの曲ですよ,あの曲。

Psycho
(1960 年 / アメリカ / 109 分 / 白黒)
監督:Alfred Hitchcock
音楽:Bernard Hermann
出演:Anthony Perkins / Janet Leigh
指揮:Nicholas Buc (a.k.a. Norman Bates)
演奏:The Bates Motel Orchestra

★★★★★★★★★★

2010年7月23日金曜日

MIFF #01

メルボルン国際映画祭が開幕しました。今日から映画を見た日はそのレポートをここに綴ります。

"The Illusionist" @Greater Union 3

Greater Union はメルボルンでも少し古いタイプのシネマコンプレックスです。日本でも歌舞伎町辺りにあった映画館をイメージすると近いかも。全部で 6 個のスクリーンがあります。

この映画祭,僕が最初に観た映画は "The Illusionist" というアニメーション作品です。1959年パリ,キャバレーでマジックを披露する芸人一人。ドジ踏んでクビになってパリを後にし,海を渡ってロンドンへ…。ロンドンでは,人気絶頂のロックバンドの後にステージに上がるも,客はほとんどいない。流れ流れて,スコットランドの安宿でマジックを披露する日々。そこで働く住み込みの少女だけが楽しんでくれる…

とまぁ,時代に取り残された芸人噺としては良くあるタイプのストーリー。ただ,この作品,何が特別かって,脚本がジャック・タチ。彼の映画化されなかった脚本をアニメ化したのがこの作品です。主人公のマジシャンは,顔はともかく動きはタチ演じる伯父さんそのもの! モーションキャプチャーしたんじゃないかってくらい。ところどころに差し込まれる笑いのセンスも往年のタチ映画を彷彿とさせてくれる。「ぼくの伯父さん」なんかでは犬が良く出てくるけれど,この作品ではマジックに使うウサギが主人公(ユロ氏って言っちゃっていいのか?)の相棒。ただ,ストーリーがストーリーだけに全体のトーンがもの寂しい感じだけれど…

3D とかいって騒いでいるこの時代に手描きのアニメでこういうテーマの作品を作るってあたりがまたノスタルジーを掻き立てて泣かせるじゃないスか。しかも,単にアニメ化したってだけじゃない,カメラワーク(っていうのかな? アニメの場合)もひと捻りしているところがあるし,タチのオリジナル脚本をどの程度脚色しているのかわからないけれど,実写じゃキツいだろうなぁという描写や動きも多い。こういうとこはアニメーションならでは。アニメだからこそ描けるエキセントリックなギャグなんかもあって,笑いながら「うまいねぇ」と唸ってしまいました。

そういう意味では,埋もれたスクリプトを生き返らせるにはこの手があったかと思わせる作品,アニメーションでこそ描くべきお手本のような作品だと思いますね。近頃,何でこれアニメじゃなきゃいけないの? 的作品も多いので,そういう意味でも,貴重だと思います。

でも,ラストはちょっとカッコ良すぎるんじゃ??

The Illusionist
(2010 年 / フランス=イギリス / 80 分 / アニメーション)
監督・脚色:Sylvain Chomet
オリジナル脚本:Jacques Tati

★★★★★★★☆☆☆

2010年7月22日木曜日

師曰く…

えー,タイトルはいいのが思いつかなかったんで,ダジャレです。

午前中,セミナーがあったので聞いてきました。Macquarie University の Ron Steinfeld さんの講演で,タイトルは "Efficient Public-Key Encryption from Ideal Lattices" というものです。タイトルが示す通り,格子ベースの公開鍵暗号法に関するもので,イデアル格子における最小長さのベクトルを見つける問題 (SVP) に基づく新しい方式に関する話です。従来のものと同じ計算量的安全性を仮定した場合,鍵の長さも,暗号化や復号化に要する計算時間も線形オーダーで収まるという話でした。

この辺の話はキチンと勉強したことがないので,細部まではフォローできなかったけれど,線形オーダーで実現できるということで,従来のものよりは現実味があるわけだが,実装しようとするといくつか問題もあるみたいです。いくつかパラメータを適切に選ばなければいけなかったり,関数の一部に正規乱数を使っているので,そのパラメータなんかも設定する必要がありそうだ。この辺がいい加減だと使っているハッシュ関数そのものに関わるので,問題になったりしないんだろうか??

ううむ,知的好奇心は刺激されて,時間があったら,もうちょっと調べてみたいような気がするけれど,とりあえず,目の前の問題に取り組まないとな…

2010年7月21日水曜日

15 年ぶり

昨日書くべきだったことを今日書きます。

昨日,アレックスと昼食を一緒に食べました。アレックスって言っても元日本代表じゃないぞ。僕の知り合いに,元オーストラリア国立大学 (ANU) の先生で Don Fraser さんという人がいる。アレックスは彼の末っ子で,メルボルン大のキャンパスで仕事をしていると聞いたので,連絡を取って会ったというわけです。

Don とは,僕が修士の学生の頃,名古屋で国際会議に出た時に,ちょうど banquet で隣に座っていたので,いろいろ話をしたのがきっかけで知り合いました。彼は,ADFA (Australian Defence Force Academy,日本でいう防衛大学校?) にも籍があって,航空機 (っていうか多分戦闘機) から空撮した地上の画像をニューラルネットで修復するというような研究をしていました。僕も当時はニューラルネットを研究していたので,同じ会議に出ていたわけです。

過去 2 回オーストラリアに来た時も,わざわざ,キャンベラにある彼の家に遊びに行ったりしていました。アレックスとはその時以来です。最後に会ったのがちょうど 15 年前の 1995 年。当時は Sandy って呼んでたな(ホントは Alexander)。前に会った時は 10 代も前半のまさに「少年」だったけれど,15 年だからね。もう 20 代後半で結婚もしている。こっちもトシ取るわけだ。

彼はキャンパスで仕事をしているといっても大学職員ではない。コンピュータゲーム会社に勤めていて,その会社が大学のリソースを借りているので,大学内にオフィスがあるということでした。子供のころから良くパソコンいじってた記憶があるからね。彼は大阪で 3 年暮らしたことがあって,当時は ECC で英語教えてたらしいですよ。向こうがどのくらい僕のことを覚えていたかは微妙だけれど,まぁ,食事しながらいろんな話ができて楽しかったです。

Don のところにも春(日本の秋ね)に遊びに行こうかと考えています。今は引退して農場暮らしということで,オージーのカントリーライフを味わえると思うんで,これも楽しみだったりします。

2010年7月20日火曜日

達成感

今朝の新聞 The AgeRun Melbourne の全完走者のタイムと順位が掲載されていました。画像を縮小したので潰れてて絶対見えないと思うけど,僕の名前も矢印のところにあります。ちなみに詳細なタイムは公式ウェブサイトでもチェックできますので,ヒマな,もとい,興味のある方はどうぞ。


結局,公式タイムは 10km を 52 分 18 秒。完走者 6723 人中 1634 位ということで,なんとか上位 25% には入った模様です。ちなみに男性の中では 2968 人中 1247 位。40 代の男性に絞ると 559 人中 220 位だそうです。結構シッカリしたデータが見られるんですね。ちなみに,前半 5 キロを 24 分 39 秒,後半 5 キロを 27 分 39 秒で走ったそうです。自分の感覚としては前半の方がスローダウンしてタイムが落ちてた感覚だったんだけど,最初の 2km をかなりのハイペースで走ったのかもしれませんね。それが腰痛に出たのかも。最後の 3 ~ 4 km は時計をチェックしてほぼキロ 5 分のイーブンペースだったと思うから,中盤の 3 キロくらいが相当落ちてたんだと思われます。あまりに腰が痛くて,一回歩いたからね。

まぁ,でも,日本で運動不足だったことを考えれば上出来でしょう。楽しかったです。

今日は,仕事の方もいろいろ片付きました。まず,10 月のドイツ国際会議の最終原稿を完成させて提出。編集委員をしている論文特集号の編集作業も〆切ギリギリでヤマを越えました。特集号の仕事は自分一人ではなく,関係する皆さんの連係プレーですが,とにもかくにも無事に終わって良かった。

こういう日の酒は美味いね。

2010年7月19日月曜日

映画のお供は??

こっちの人は映画を見るとき,みんな飲み食いしながら観ている。定番のポップコーンとか,アイスとか,ワインやビールを飲んだり,こないだなんか寿司食ってるヤツを見た。日本だと一部の劇場では飲食禁止,もしくはできるだけ控え目にってのがマナーになっていたりする。まさに所変われば…でさぁねぇ。

さて,なんでこんなこと書いているかというと,今年のメルボルン映画祭のテーマは It's a Matter of Taste と言って,イメージキャラクターが Popcorn と Choctop (チョコでコーティングされたアイス)です。で,映画祭の関連イベントで,どっちが映画のお供にふさわしいかを投票しようというのがあるらしいので,今日やってみました。ポップコーンはいかにもだし,ちょい油焼けしそうな感じもあるので,僕はチョコトップに投票した。

ちなみに,以下のリンクから投票できるので,ぜひ投票してみてください。みなさんが投票してくれると僕にポイントが付加されるらしいので,僕を助けると思ってお願いします。ちなみに,チョコの方に投票していただけると,ポイント倍加だそうですので,ぜひチョコに投票してください。facebook のページにつながりますが,facebook に登録しなくても投票は可能ですので,お気軽にどうぞ。

http://www.popvchoc.com/?referrer=8x7x_k

そうそう,映画祭では最終日にサプライズ・スクリーニングのチケットを購入しましたが,今日,そのシークレットが明かされました。今年のカンヌ映画祭でパルムドールを受賞したタイ映画,アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の「ブンミおじさん」(Uncle Boonmee Who Can Recall His Past Lives)です。審査委員長のティム・バートンも絶賛したというダーク・ファンタジー。これは当たりでした! 楽しみ!

話は変わって,今日,Udaya さんとちょっといろいろなディスカッションをしました。これまで,かなり放ったらかし状態で,まぁ,それはそれで自分の仕事が進んだから良かったんだけど,これから少し定期的にディスカッションしようかってことになった。それと,来週から始まる彼の授業で,どっかで 1 回だけゲスト講師としてしゃべってみないかって話も出た。彼にしたら 1 回楽をできるし (:-P),僕にとっても貴重な経験なので,これも楽しみ。研究の方もおもしろい展開が生まれそうな予感が(少なくとも予感だけは)あります。

2010年7月18日日曜日

まずまず

走ってきました,Run Melbourne。先日訪れた Thunder Road Breweing でいただいた T シャツを着て完走してきました。

10 km コースを 50 分で走るのが目標でしたが,結果は 52 分ちょい。序盤の 2 キロ地点辺りで左腰に激痛が走り出しペースダウン…,3 ~ 4 km 辺りから痛みが和らいだので,後半は 5 分/km ペースで走りぬきました。まぁ,アクシデントがあった割には,まずまず,結果には納得です。しかし,痛かった。寄る年波には勝てないということか?? 終了後の無料のマッサージが気持ち良かった (^-^)

一応,完走するとこんなメダルがもらえます。


公式タイムと順位は,火曜日に新聞 The Age に掲載されるそうです。こっちも楽しみ。

先日,アパートのネット環境がおかしいと書いたが,今日つないでみたら復活していた。何だったんだろう??

2010年7月17日土曜日

拝謝

昨日もちょっと書きましたが,高熱で入院していた我が娘が本日退院したらしいです。よかったよかった。

札幌からお義母さんが駆けつけてくれたり,東京にいる伯母さんが来てくれたり,下の小坊主を友達の家で預かってくれたり,お見舞いに来てくれたりと,たくさんの方にお世話になりました。

今日は近所の団地のお祭りだそうで,すっかり回復して遊びに行っている模様です。

僕は遠くにいるから,物理的には何もしてあげられないので,友人,親戚さまさまですね。

みなさま,ありがとうございました。

2010年7月16日金曜日

オフライン化

今夜,いつものとおり,アパートの部屋からネットにつなごうとしたらできなかった。ちょうど,新しい寮生が入ってくるタイミングで,寮生用のネットワークアカウントを登録するためなのか,あるいはこのタイミングで,ネットワークシステムを更新しようとしているのか,よくわからないのだが,ブラウザを立ち上げると,プロバイダの契約画面になる。サインアップしてクレジットカードを登録すれだの,なんだの(←北海道弁)。

いろいろ試したけどダメなので,寮の図書館にある PC でネット接続を試してみた。ここのネットワークは従量課金制なので,部屋からつなごうが,共有 PC を使おうが,接続時に ID とパスワードを要求される。部屋ではダメだったが,図書館の PC は OK。というわけで,今,寮の共有 PC から書いています。

うーむ。言語バーで日本語に設定したから日本語が書けるのはいいけど,キーボードのキー配列が微妙に違うのと,画面上の漢字フォントが簡体中国語になっているっぽいので,なんか気持ち悪い。

部屋からのネット接続は,月曜日レセプションに聞いてみないと何とも言えなさそうなので,しばらく我慢するしかないですかね。ま,今週は平日に遊んじゃったんで,どうせ明日は学校に行こうと思っていたから,明日はそれでよし。日曜は午前中 Run Melbourne で,午後は白く燃え尽きていると思うから,多分これも問題ないんじゃないかな?

というわけで,この週末,部屋からは temporally off-line かも,です。

追伸: 我が家の娘さん,何日か入院して熱が下がったようで,明日退院できそうです。よかったよかった。結局,何だったのかはよくわからないけど。悪い風邪かねぇ。

2010年7月15日木曜日

大人の社会科見学

今日は,ひょんなことから知り合ったサカモトさんという日本人の方とそのご主人フィリップさんが設立しようとしている Thunder Road Brewery という地ビール工場の見学に行きました。ここは,メルボルンの Brunswick という地区にあって,僕のアパートからも歩いて 30 分くらいの位置です。

当初は 8 月か 9 月にオープンと聞いていたんですが,実際はまだまだ先になりそうです。事実,工場は工事の真っ最中で,ご覧の通り工事現場用のベストを着用しての見学と相成りました。ブルワリーがまだ工事中ということはビールを醸造しているはずもないわけで,とりあえず,一通り工場や,いずれテイスティングルームになるであろう建物の中などを見せてもらうことができました。工場内部や醸造工程などについては,後日ブルワリーから公式のビデオリリースがあるまでは秘密ということで,ここでもお話しするわけにいきません。ごめんなさい。


最後に,ブルワーのハービーさんやマーカスさんと一緒にビールのテイスティングをしました。飲んだビールはボトルショップでも買えるオーストラリアのビールと,フィリップさんがアメリカから入手してきたカリフォルニアのビール,それにイギリスの Samuel Smith's などです。中には,ダイアセチル(オフ・フレーバーの一種)が出ていて残念なものもありましたが,オーストラリアとアメリカのホップの違いなんかがはっきりわかるセレクションで,楽しい時間を過ごすことができました。一緒に行った同じアパートのクロキさんやそのお友達スズキさんも楽しんでくれたようで良かったです。

ちなみに,ブルワーのハービーさんがトルコで醸造をしていたときに関わった TAPS というビールが,日本で行われた 2008 年のインターナショナル・ビア・コンペティションで,アイリッシュ・レッド・エール部門の銀賞になったということで,小田会長署名入りの賞状を見せていただきました。意外なところで日本地ビール協会とのつながりを見つけてちょっとびっくり。こちらで証拠をご覧いただくことができます。醸造責任者はハービーさんの mentor だった Wil Kemper 氏になっています。

ところで,Thunder Road というネーミング権について,元々大手ビール会社の Fosters が "Thunder" に関する権利を持っていたり,ロバート・ミッチャム主演のまさに "Thunder Road" という映画があったりで,紆余曲折あったようです。ちなみにこの映画,邦題は「死の驀走」(←読めん(^^; 何走 ?? バクソウでいいの??) といって,日本では劇場未公開,テレビのみという珍品。多分,石井聰亙監督の「狂い咲きサンダーロード」(英題:Crazy Thunder Road) の方がメジャーだと思う。少なくとも日本では。

成長しつつあるオーストラリアの地ビール市場の中でも One and Only を目指すブルワリーのようですので,どんなビールが出来上がるのか,今から楽しみです。その姿はまだヴェールに隠されていますが,何はともあれ,僕が在豪中にオープンしてくれることを祈るのみです。オージーは大らかだから,ちょい心配だったりする…

2010年7月14日水曜日

タキガワ君に捧ぐ

日本を出る前,学生時代の友人タキガワ君から「メルボルンの近くにミミズ博物館というのがあるから調査するように」との命を受けておりました。というわけで,忘れないうちにミッションを遂行することにした。だがしかし,それだけのために遠出するのもバカみたいなんで,いろいろ調べてみたら,フィリップ島にペンギンパレードを見に行くツアーがそこに寄ることが判明。まぁ,ミミズを見に寄るわけではなく,併設されている自然動物園でコアラとかカンガルーを見に寄るんだけどね。普通の人はね。

で,先日ツアーをブッキングしたというわけ。諸般の事情があって,地球の歩き方などでもおなじみ Mr.John の日本語ツアーというのに参加することにした。で,以下は僕と John さんとのメールのやり取り。

コジマ
「ツアーで立ち寄る自然動物園はBass にある巨大ミミズ展示館があるところでしょうか?」

ジョン
「そうです!でもミミズ博物館もう閉まってしまいましたでもミミズについて説明や写真が張ってありますから興味があれば喜んでご案内します!」

というわけだ。タキガワよ,ミミズ館は潰れていたぞ。 

ミッション・インポッシブル!

しかし,一応建物は残っているということだし,写真程度の展示はあるらしいので,何はともあれ行って来ましたよ。

メルボルン市内を出て車で走ること 1 時間と 20 分。やってきましたミミズ,じゃなかった自然動物園。いやぁ,見てびっくり。本来,巨大なミミズ型の建物だと聞いていたんだが,ミミズの姿であるはずのゲートはカラフルなアボリジナル・アートでポップに衣替えしてました!


ちなみに,館内で写真展示されていた在りし日の姿は下の通り。おえー。ちなみに,昔は入口んとこに「高田純次もビックリ」とかいうマヌケなパネルまであったらしいぞ。


ちゃんとミミズの写真もありましたよ。


このミミズ,Giant Gibbsland Worm といって,最長で 5m くらいになるんだそうだ。ヴィクトリア州でもメルボルンなどには生息しておらず,この辺りの Gibbsland 地域にしかいないらしい。5m というと縄跳びとかできそうな長さだが,ふつうのミミズと違ってちぎれても再生しないので,「縄跳び≒殺生」になるらしいですよ。良い子はマネしちゃいけません。反捕ミミズ団体から攻撃されかねない。

というわけで,少々消化不良だがミッション終了。

一応,一般の観光客らしいことをしてきた証拠も見せときます。あいにくの雨でしたが。


ちなみに,ツアーの本来の目的地であるフィリップ島には夕方 5 時過ぎに到着。午後 6 時ちょい前くらいから,体長 30 センチくらいのリトルペンギンが海から上がって来て巣に帰る様子を見ることができました(写真撮影は禁止)。大体 20 ~ 30 羽の団体ごとにやってくるんだが,トータルで 300 ~ 400 羽は見られたと思います。幸運 (?) なことに交尾しているペンギンというものも見られた。これは言葉で説明すると結構生々しいので,ここではやめときます。有害ブログとか言われたら困るし。

雨で寒かったけれど,平日休んででも行った甲斐はあったと思います。ペンギンだけでなく,ミミズもね。

以上,ミッション報告終了。

追伸:
ヨメからメールで,上の子が熱を出して入院したとのこと。ちょい心配。この辺が海外単身赴任のつらいとこだね。しかも,今日は遊んでしまったし。

2010年7月13日火曜日

雨の御堂筋

今夜,本番前最後の Run Melbourne の Training Run があったので,フェデレーション・スクエアに行ってきました。10 km のグループに入って走ってたけど,4km を過ぎたあたりでひどい雨に。汗じゃなく,雨でシャツがビショビショ。かなり消耗しました。こっちでは雨っていっても,パラパラ程度に降るのが普通なんで,こんなまとまった雨が降るのは珍しい。よりによって,今日降らなくても…

さて,東京のビアフェスは 6 月に終わりましたが,大阪のビアフェスが今週末ですね。ビアフェスの Twitter があるらしいので,サイドバーに表示してみました。いかがでしょうか。ビアフェス大阪のボランティアのみなさん,がんばってくださいね。

トオイ ミナミノソラカラ カンガルートトモニ オウエンシテイマス !

2010年7月12日月曜日

風聞

今朝,早起きしてワールドカップの決勝を観ました。スペインは試合を支配していたし ,何度か決定機もあったので,もっと早く決めてもよさそうだったけれど,難しいもんですな。セットプレーから直接狙うようなシーンもいくつかあったけれど,そのたびにこっちの中継でも「ジャブラニを扱うのは職人芸だ」ってなことを盛んに行ってて,「日本の本田くらいなもんだろう」ってな話になっていました。自国での評判はどうなんでしょうか。

日本では参院選だったんですねぇ。僕は,事前に転出届を出すのをすっかり忘れていたので,こっちで在外投票の申請ができず,今回は日本の自宅に投票券が届いてしまっていたらしい。ま,仕方ない。それに,たぶん投票しても結果が覆ることはなかっただろうし。しかし,スタンドプレーで顔を売ったら当選できるなんて,日本人の政治観の低さが透けて見えるようで,海外にいるとちょい恥ずかしいような気がするケド。

2010年7月11日日曜日

惨敗

初めて AFL (Australian Football League) の試合をスタジアムに見に行ってきました。昨日も行った Docklands にある Etihad Stadium で行なわれたカールトン対ウエスタン・ブルドッグス (WB) の試合。両チームは今,WB が 5 位,カールトンが 6 位で,勝った方が 5 位というガチンコ勝負。見応えのある試合を期待してました。


ところが結果はカールトンの惨敗。126-58 で WB に敗れました。WB はやることなすことうまく行っていたのに対し,カールトンはミスパスやファンブルも多く,ゴールの数も WB が 20 に対し,カールトンはたったの 8。ひどいゲームでした。僕の周りのカールトンサポは第 3 クォーターが終わった辺りでぞろぞろと帰って行きました。せっかくカールトンのレプリカまで買って気合を入れて行ったんだが,残念でした。

ちょっと面白いなと思ったのは,日本の J リーグのゲームなんかと違って,スタジアムの客席がホームとアウェイにあんまり分かれてない。さすがにゴール裏はエンド毎に住み分けされていたけど,2 階席や僕のいた 3 階席は両チームのサポーターが混じり合って座っていました。フレンドリーな人が多そうなんでいいけど,熱狂するとちょい恐い気もする。昔,駒場で浦和と札幌の試合を観た時,札幌のサポーター席がゲットーみたいに区切られていたのからすると,エラい違いです。

次は勝ちゲームを観たいものです。試合後,Waterfront City で一人反省会をやって帰ってきました。夜の Waterfront は光のページェントがあったり,オブジェがライトアップされていてキレイでした。勝ってたらもっとキレイに見えたろうねぇ。

2010年7月10日土曜日

スペクタクル

今日は,港近くの新開発エリア Docklands に "The Amazing Bodies Exhibition" というのを観に来ました。この展覧会は,人間や他のさまざまな動物の骨格や筋肉,神経系の標本を展示しているものです。骨格標本なんていうのは,博物館なんかで見ることができるけれど,筋肉の標本というのは珍しい。死んだ動物や人間の体をホルマリンに浸けたあと,水分や脂肪を抜いて代わりに樹脂を流し込んで半永久的に標本として残すことができるんだそうですよ。これがすごい。筋肉繊維がほぼそのままの形で見られるし,そこに神経系がどのように通っているかもよくわかる。いやぁ,面白かったね。写真を撮れないのが残念だったが,入口付近のバナーに猿の標本の写真が載ってたのでこれで我慢してください。すごかろ?


人体の標本も生前にドナーとして登録した人のを使っているということで,人体をスライスした標本なんてのもありました。肺が真っ黒でヘビースモーカーだったことがわかるとか。そんなエピソードを聞くと結構生々しいわけだが…

Docklands は今開発中の地域でもあるんだけど,週末の割には人が少なかったね。メルボルン市内にも店のある James Squire Brewhouse がここにもブルワリーパブを出してたんで,見学後はここで休憩。IPA をいただきました。ホップの苦みがしっかり利いててうまいエールです。


市内の James Squire は照明を落として落ち着いた感じの店だけれど,ここは港が見渡せるラウンジやテラスもあって明るい雰囲気。ビリヤード台なんかもありました。2 階にあるラウンジ席で港を観ながら呑んだんだけど,眺めは良かったなぁ。これでもっと晴れてれば良かったんだけど。どんよりだったんだよねぇ。

2010年7月9日金曜日

望郷?

僕の住んでいる University College には,Resident Tutor (RT) というスタッフ的な立場にいる学生が何名かいる。修士とか博士コースの学生,あるいはポスドクだったりするんだが,寮の中のいろんなマネジメントとか学部生の勉強のアドバイスなんかもしてる。

で,今日はその中の一人,Lachlan の誕生日だった。ということで,夜,何人かの RT とアカデミックビジターでケーキやワインを囲んで集まりました。なんだかんだで 3 時間くらいウダウダ話してたかなぁ。こういう場になると会話力(英語のね)が試されるよね。特に Lachlan は早口なんで,なかなか聞きとるのが難しいことがある。いやいや,まだまだ修行が足りませんよ。

そういえば,彼に「ビール飲む?」って言われて出てきたのがアサヒのスーパードライだった。他にビールはなかったから,別に僕が日本人だから用意したわけじゃないと思うが,びっくりしたね。こっちに来て初めて日本のものを口にしたような気がするよ。まぁ,日本のものといっても,ねぇ。彼も「VB (Victoria Bitter) と変わんないよね」って言ってたけど,どこの国でも飲めるタイプのビールだしねぇ。特に懐かしいとも思わないよなぁ。でも,これがサッポロクラシックだったら泣いて喜んだに違いない。まぁ,あり得ないけど。

2010年7月8日木曜日

インド人もがっかり

今夜は "The Waiting City" という映画の試写会に行ってきました。監督と主演俳優が Q&A セッションに来るっていうので何となく興味があってね。この映画はオーストラリア初の 100% インドロケ映画(そのことの意義についてはよくわからないけど)ということで話題を集めています。物語は,あるオーストラリアのカップルが養子縁組したインド人の少女を迎えに行く話。

で,このカップルが二人揃って人間的に未熟っていうか,見ててだんだん腹が立ってくる感じで,全然感情移入できなかった。そもそも,物語の設定そのものに無理があるような気がして…なら見に行くなよって感じではあるんだけどね。で,いろんな出来事からこの 2 人が成長していくような話なのかなぁ~と思って見てたら,何かそれも中途半端。インド人の歌と踊りは楽しめましたが。

どうやら,まず,インドで撮ることが前提で,後から物語をこじつけたような気がする。これじゃガンジス河に浮かんだインド人も浮かばれないよぉ。

有料試写だったので,ちょい懐が痛い…

ちなみに,先週見た "The Hedgehog" の原作本を本屋で発見し,購入。少しずつ読み進めようと思っています。

あ,そうそう今日やっと周さん(なんども言うけど,炎の料理人じゃないよ)とディスカッションできました。やっぱり,違う視点から見ると意外なコメントや質問が来るもんだ。勉強になりました。僕は今,系列の応用という視点で研究を進めているけど,彼は系列の生成そのものを研究していて,応用はほとんど考えたことがないって言ってたので,僕にとっても彼にとっても有意義だったんじゃないかな。少なくとも僕は自分の研究を広げる「のりしろ」についていくつか漠然と考えていたことが少し確認できました。

ぷよ?

朝,早起きしてワールドカップ準決勝ドイツ対スペイン戦を観た。多分にレフェリーの裁量もあると思うが,印象としてはファウルが少ない。技術に裏打ちされたフェアネスってやっぱりあると思うね。セルヒオ・ラモスあたりはちょっとアブなかったけどね。

しかし,ドイツにも勢いがあると思ったけど,スペインが完全に試合を支配してた。これで決勝はオランダとスペイン,ドイツも 3 位になれるんじゃないかと思うんで,3 強をヨーロッパが独占しそうな感じ。今回南米も全 5 チームが 16 強に残って,準々決勝まではベスト 4 を南米が独占する可能性も数字的にはあったわけだが,やっぱヨーロッパか。

ちなみに,英語圏では外国人の名前もやっぱり英語読みするんで,ビジャ (Villa) はビラ,プジョル (Puyol) はプヨルと呼ばれてしまう。今日のプジョルのゴールシーンなんて,実況が「ぷ~よぉ~っ」とか言うもんで,なんだか丸いちっこいのを思い浮かべてしまいました (^^;

決勝はこっちで月曜の朝 4:30。どっちが勝っても初優勝。普通に考えるとスペインが行きそうな感じがするけど,どんなサプライズがあるか,楽しみです。

2010年7月7日水曜日

調べた,選んだ,予約した

メルボルン国際映画祭のチケットを予約しました。会員価格 120 ドルのミニパスで見られる 13 本を昨夜プログラムから選び出して,今日,オンラインで予約を済ませました。300 本近い作品から 13 本を選ぶのはかなり難儀でしたが…そのうち,近所の劇場で公開されそうな映画,たとえばポランスキーの Ghost Writer とかコッポラの Tetro なんかは極力避けてセレクト。

で,僕の観る予定の作品は,まず,映画祭ならではということでドキュメンタリーが 5 本。
  • A Film Unfinished
  • Garbo: The Spy
  • Pianomania
  • The Red Chapel
  • The Invention of Dr. Nakamats
"A Film Unfinished" はナチスの広報部隊とそこで撮影されたフィルムに関するドキュメンタリー。"Garbo" は実在のスペインのスパイに関する映画,"Pianomania" はピアノの調律師のドキュメントです。"The Red Chapel" はデンマーク映画で,コメディアンを 2 人北朝鮮に連れて行ってゲリラ撮影したという,電波少年かボラットかという作品ですが,サンダンスで審査員賞を獲ったらしい。最後のドクター中松は,まぁ,恐いもの見たさってか,ちょっと興味あるよね。

残りは劇映画。まず,アジアからは日本映画も含めて 3 本。
  • Caterpillar
  • City of Life and Death
  • Poetry
キャタピラーは若松孝二監督の新作。去年若松監督の講演を聞いたときに次回作と言ってたやつです。日本では変な形で話題になったけれども,やっぱり観ておきたい。"City of Life and Death" は中国映画「南京! 南京!」です。南京大虐殺を描いた作品で,これも日本でも話題というか議論になっている作品ですね。日本公開も決まっていると聞いているけれど,どうなるんだろう?? 目をそらしちゃいかん映画だと思いますね。最後の Poetry も日本公開が決まっているんじゃないかな? イ・チャンドン監督の「詩」です。カンヌで脚本賞を獲りました。

残りは以下の 5 本。
  • Cell 211
  • The Trotsky
  • A Somewhat Gentle Man
  • Film Socialisme
  • The Illusionist
"Cell 211" と "The Trotsky" は日本でも映画祭などで上映済みです。"Cell 211" はスペインのスリラーで日本では DVD もリリースされているみたい。"Trotsky" はカナダ映画で自分がトロツキーの生まれ変わりと信じている青年の話。"A Somewhat Gentle Man" はノルウェーのクライムコメディ。"Film Socialisme" はゴダールの新作で,何かやっぱりスクリーンで早いうちに観ておきたいという気がした。最後の "The Illusionist" はジャック・タチの未発表脚本を元にしたセリフのないアニメーション作品ということ。ジャック・タチの映画は好きなんで,これも絶対に見逃せない。

というわけで,選んだ 13 本は自分でもいいセレクションだったと思います。この他,ヒチコックの「サイコ」公開 50 周年バージョンとしてオーケストラの生演奏付きで上映されるものを既にチケット購入済み。それと,最終日の最終回に予定されている "Secret Screening" も有料で予約しました。約 2 週間の間に 15 本。平均 1 日 1 本ペースで楽しい冬になりそうです。

ちなみに日本映画は「キャタピラー」以外にも,短編も含めると全部で 10 本くらい出品されていましたが,是枝監督の「空気人形」とか松本人志の「しんぼる」とかサブの「蟹工船」とか,日本では相当前に公開された作品もありましたね。ちなみにドクター中松のは日本映画ではなく,デンマーク映画ね。今回デンマーク産のドキュメンタリーを 2 本観ることになるけど,どっちもちょい色モノ系なんだよなぁ。

2010年7月6日火曜日

MIFF!


今夜は,メルボルン国際映画祭 (MIFF) の Official Launch に参加してきました。映画祭は今月の 22 日に開幕,今週の金曜日にチケット一般発売開始ということで,今日は,そのスタートアップイベントというわけです。関係者と映画祭メンバーだけが参加できるイベントです。僕はこっちに来てすぐ映画祭のことを知ってメンバーになっていたので,出席できたというわけ(メンバーシップと言っても,金で買うわけだが)。

メンバーの特典はいくつかあって,これまで無料の試写会に参加したりしてきたんですが,何と言っても,一般発売前に公式プログラムを入手してチケットの予約ができるというのが大きい。今日は帰りに公式プログラムをもらってきました。一般には 9 日の朝に The Age という新聞に折り込まれるのと,その日から Box Office で配布されるわけなので,3 日早く入手できたということです。

今日のイベント自体は,ワインなんかが振る舞われたけれど,実行委員長のあいさつとか,いくつかの映画の予告編を見たりできる程度のもので,多くの参加者の目的もこのプログラム。僕は 10 本の映画+ボーナスで平日昼間の 3 本を観られるパスを買ったので,計 13 本の映画を観ることができます。明日,オンラインで予約を入れようと思うので,これから 13 本を選ぶべく,プログラムとにらめっこです。

では。

2010年7月5日月曜日

空振り

今,僕が世話になっているメルボルン大の Udaya さんのところに,中国からもう一人研究者が来ている。僕も行ったことのある四川省は成都にある西南交通大学のスタッフで,その名を周さんという(一応言っとくが,料理人とは違う人ね)。彼は,「ZCZ 系列」という、相関関数値がある範囲でゼロになるような符号系列に関する研究をやっていて,離散数学をバックグラウンドとしている人。僕の考えている問題にこういう系列を導入するとどうなるのか,僕自身も興味があるので,せっかくだから彼とそういう話についても議論したいと思っていた。

今週は木曜まで Udaya さんが不在で,「その間に二人でディスカッションでもしてれば」みたいな話になっていたので,いくつか話のネタを準備して待ち構えていた。でも,結局今日は周さん現れなかった。どうしたかな?? 恐れをなしたか? そんなわけないよな。

ということで,当てが外れたので,結局今日はそれ以外の仕事をした。前から考えていた問題の解決の糸口が少し見えかけてきたので,それを文書の形でまとめました。その中で学生のネタとして適当なものも見つけられたので,学生向けのメモも作って,東京に残してきた学生にメールで送りました。興味を持ってくれるといいけど。

今週はこの問題についてもう少しじっくり考えてみることと,来週〆切の論文査読,再来週〆切の国際会議のカメラレディ原稿などを片付けてしまおうと考えています。原稿はとりあえず仕上げて,締め切り寸前まで修正しようとは思うけれども。

昨日買ったリー・リトナーの "6 String Theory",これいいね。やっぱギターの音色って素敵だ。今朝からずっと回してます。

2010年7月4日日曜日

河川敷

今日は,Yarra River 河川敷を西の港の方に向かって散歩しました。このエリアは Waterfront として観光客にも人気のエリアのようですが,河川敷っていうと,多摩川とか豊平川みたいで今イチですね。うぉーたーふろんとです,うぉーたーふろんと。

午前中,移民博物館というところに寄ったら,ここが結構見応えあって,昼過ぎまで3時間くらい過ごしてしまった。白人がオーストラリアに最初に移住してから現在までの歴史が詳細に展示されていて,白豪主義の時代に関する展示なんかが興味深かったですね。各国の移民に関するデータベースもあって,20 世紀の初頭には日本人の移住者がいたけれど,法律で一斉排除された時代もあったことなんかも知識としては知っていても,展示を通して改めて実感できましたね。

川沿いにはいくつか公園があって,市が維持している鳩小屋みたいのもありました。鳥にエサをやっているおっさんなんかがいるもんで,鳩だけじゃなく,おびただしい数のジョナサンもやって来てました。


川の南側はサウスバンクと言って,アウトレットモールやらレストラン街があったりします。こっちに来てから街の中心でいくつか CD ショップを漁ったんだけど,品揃えの薄さに辟易してました。今日,ここのショッピングモールに入っている JB-HiFi(日本でいうヨドバシみたいな電器量販店)の CD コーナーは,そこらの CD ショップより充実してました。ハービー・ハンコックの新作 "The Imagine Project" とリー・リトナーの "6 String Theory" を購入。上原ひろみが参加したスタンリー・クラークの新作は,オーストラリアではリリースされていないらしく,見つけられませんでした。

サウスバンクの界隈は週末になると,ストリートパフォーマンスなんかも盛んに行なわれていて,そこかしこに人だかりができている。と思ったら,本田圭佑が最初に飼い慣らしたと言われるジャブラニの巨大オブジェも発見しました。


今日は晴れるって言ってたんだけど,ずーっとどんより曇ってました。この国の天気予報の精度も我が国といい勝負みたいです。

2010年7月3日土曜日

上方修正??

今日は,先週の日曜に下見した Run Melbourne の 10km コースを走ってきました。初めてなので,ペースは抑え目で,坂の感じなんかを確かめながら。信号待ちも含めて 54 分弱でゴール(正確なゴール位置はわからないので目安)に辿りつきました。ちょい初めのストレッチが足りなかったか,途中ふくらはぎに痛みが...でも,トシと普段の運動不足を考えて,10km を 50 分以内というのが自分に課したノルマなんで,まずまずかと思います。様子を見ながら目標を修正できるかも...タイムの場合,良い方に修正するのは上方修正?? 下方修正?? 目標タイムを上回るっていうから,上方修正でいいのか。まぁ,いずれにせよ,無理しない方がいいかな?

雨が降りそうな空模様だったけど,結局降らず助かった。明日は晴れるみたいなので,Yarra River 沿いを散歩したりしようと思います。

2010年7月2日金曜日

タイタニック

今日は,午後,メルボルン博物館で開催中のタイタニック展を見てきました。今,すごーく人が入っていて,15 分おきに入場できる人数に制限があるんだけれど,土日は数週間先まで埋まっているそうだ。

まぁ,確かに見応えはあったね。海底の発掘調査で引き上げられた遺留品やら,船内の装飾品なんかが展示されていて,当時の航海の様子や事故の様子がよくわかる構成になっている。

入場時に当時のボーディングパスのレプリカを渡されて,そこには実際に乗っていた人の名前が書かれている。どうやら一人一人違うものを渡されているんだが,最後の方の展示で生存した人と亡くなった人の名簿が壁一面に記されていて,自分が渡されたボーディングパスの持ち主がどういう運命にあったかが分かるようになっている。ちょい悪趣味な感じもする…ちなみに,僕のもらったパスの持ち主は 3 等船室に乗っていて,お亡くなりになってました。やっぱあんま,気分良くないよね。

帰りにミュージアムショップで,当時の出航ポスターのレプリカを買いました。


今週は査読やら学会の仕事やらが多くて,研究はあんまりはかどらなかった。その手の仕事はある程度片付いたし,月も変わったことだし,来週はちょっと新しいことに取り組んで前進したいと思っています。

2010年7月1日木曜日

順応?

今日,Run Melbourne の公式ランニングシャツが届いた。サイズは L を注文していたのに,開けたら "Medium" って書いてある。封筒には "Mens L" って書いてあるのに…何だい,南半球じゃ,あるいはこの界隈じゃ L は Medium のことなのかい??


なんかやっぱりユルい。でも,こういうことで動じちゃいかんのだ。試しに着てみた。ちょうどい~。これでいいじゃん。誰かオレの体格見てたのか?? 「ありゃ,L じゃないだろ?」なんつって。ま,逆に L だと若干デカかった可能性があるので,これはこれで良しとする。なんかちょっとこのユルさに慣れてきたようでうれしい。

今夜は Lygon St. の Cinema Nova で "The Hedgehog" というフランス映画の試写を見てきたので,8 時半頃帰宅。当然夕食には間に合わないが,あらかじめ言っておくと取り置きしてくれるので,それをチンして部屋で食べる。ちょうどテレビで地元カールトンとブリスベンの Footy (Australian Football) のゲームを中継していたので,ワインとともにそれを見ながら食事。こういうのもたまにはいいね。試合は第 1 クォーターでブリスベンにリードを許していたが,第 2 クォーターで一挙にカールトンが逆転。自力じゃ勝ると思うから,まぁ当然という気もするけど,やっぱり少し盛り上がる。気がつくと一人でテレビ見ながら "Come on!!" とか叫んでいる自分がいた…なんかちょっと外人になり始めているかも。

そうそう,試写で見た映画はすごく良かった。パリの高級アパートに住む 11 歳の女の子とアパートの管理人,それに新しく越してきた年配の日本人の間のお話なんだが,小さなストーリーをグイグイ引っ張る監督の力量を実感。谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」とか小津安二郎の「宗方姉妹」とかが出てくるわ,引っ越してきた日本人の名前は「小津」だわ,この監督そうとうの日本びいきと見たが,それはともかく,小さいけれど,いい作品でした。