今日届いたキネマ旬報のメールマガジンでこんな記事を読んだ。ある映画試写会で,上映中,参加者に twitter へアクセスしてもらい,書き込まれたツイートをスクリーン脇に設置したディスプレイに映すという試みが行なわれたそうだ。このことの是非が議論になっている。ちょっと去年の高専プロコンで最優秀賞を獲ったウチの学生の作品を思い出したよ。あれは 2 ちゃんの書き込みをテレビにテロップで挿入するってやつだったけど。まぁ,目の付けどころは似てる。
映画ファンの中にはこういうのを忌み嫌う人もかなり多いだろうと予想される。3D とか吹替え版だってどうか,というのが議論になるくらいだし。まぁ,僕だって,こんなサービスがあったって参加しようと思わないし,こういうことをしている試写会や映画館にわざわざ行きたいと思わない。でも,数はどうあれ,これを面白いと思っている人がいるとすれば,それを全否定するのはどうかとも思う。
もちろん,すべての映画館,すべての上映でこういうことが普通の形式になったら,そりゃ困る。これは 3D とか吹替えも同じこと。同じコンテンツでも 3D 版と 2D 版,吹替え版と字幕版の両方があれば,僕らは選択できる。それが重要なのだ。
考えてみたら,映画界にしたってビジネスチャンスにつながる可能性もある。いくら割引制度を工夫したり値下げをしても,映画人口はいっこうに増えていないらしい。おそらく割引しても,元々映画に行っていた人たちが利用するのであって,新たな顧客開拓にはつながっていないんだろう。だとすれば,これまで映画館なんかに目を向けなかった層を開拓するための工夫が必要になる。そのためのチャレンジとして,今回の twitter みたいな試みはユニークだと言えなくもない。記事を読んだ限りでは,今回の試写会の主催者側が何を狙ってこういうことを行なったのかまではよくわからなかったので,映画界のために,とか,映画人口を増やすために,なんてことは考えていないかもしれない。でも,映画観客層の幅,すそ野を広げることが,延べ観客数や興行収入の増加につながるはず,という気もするのだが。
同じようなことが映画館での飲食にも言える。日本の映画館では,飲食は禁止,あるいは他の観客の迷惑にならないよう注意して,というのが普通。ところが,僕のいるメルボルンの映画館では,どこに行っても,みんな何か食べたり,ワイン片手に映画を楽しんでいるし,上映中に大声で笑ったり,つぶやき声が聞こえてきたりもする。ところが,これが意外と楽しい。そこにいる全員で見ているという臨場感がある。僕の世代ではもうわからないことだけど,昔の映画館ってそんな感じだったんじゃないんだろうか??
とにかく,ここの人達にとっては,映画を見に行くという行為が日常的なイベントとして確立しているという気がする。一方,日本では,そういったイベント性よりも作品としての「コンテンツ」自体を楽しむという方向に偏りすぎているきらいもあるんじゃないだろうか? そうだとすると,別に劇場で見なくても…なんてことを考える人たちが増えても全く不思議はないような気がするわけ。コンテンツとしての映画を楽しむ映画館があってもいいし,大勢でイベントそのものを楽しむ映画館があってもいい。まぁ,採算とか全体のバランスを考えると業界全体が団結しなくちゃいけない難しさはあるだろうけど。
映画がある限られた人たちの特別な趣味になっちゃいけない。本来(というか今だって),大して高尚なものではなく,もっと気楽に楽しめるものだったはずだ。「マナー」っていうのは,そもそも相手のことを思う気持ちが素直に現れるべきもので,画一的に決められるものではないはず。これまで日本の映画館でまことしやかに叫ばれてきた「マナー」は,一部の人達(もちろん,その中に自分も入ってきたことは十分自覚しているつもりだが)に心地よいことを押しつけ過ぎて来なかっただろうか? そのことが,それ以外の人達にとって窮屈に感じられるあまり,映画館から足を遠ざける原因になっては来なかっただろうか?
…と今日は,ちょっとそんなことをウダウダと考えてしまいました。
さて,最後にちょい仕事(かな?)の話。
研究室に最初から置き去りにされていたデスクトップ PC があったのだが,これまで特に必要も感じなかったので,ずっと放ったらかしにしてあった。でも,十分使えそうでもったいないし,日本から持ってきたラップトップ 1 台ですべてまかなうのもちょっと無理かな? と思い始めて(今頃気づいたか),今日,ubuntu 10.04 と Windows 7 をデュアルブートできるようにインストールした。プログラム組んだりちょっとした数値計算したりってのは,こっちを使えそうだ。前の住人も ubuntu 使ってたみたいだし。Windows は別に必要なかったけど,ラップトップにインストールしてある Matlab をこっちで使うこともできるかな? と思ったりして…。いずれにせよ,計算機のセットアップに時間を費やすのも避けたいので,必要に応じて少しずつ育てて行こうと思ってます。
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