2011年3月31日木曜日

帰路

昨日は,メルボルンでの実質最終日。僕のオーストラリア滞在 341 日目だった。アパートをチェックアウトして,市内のホテルに移動し,夕方,もう一度,あそこを訪れた。

Brunswick の Thunder Road Brewing だ。

前はまだ稼働していなかったタンク類も既に稼働していてオンサイトでの醸造が始まっていた。何が残念って,このサイトで作ったビールを帰るまでに呑めなかったのが一番残念なんだが…

でも,前にも呑ませてもらった No.2 を再び味わわせてもらったが,前回よりも落ち着いてきたような気がする。エール特有のフルーティな香りが前よりも立っているようにも感じられた。

ちなみに,下の写真はここのブルワーのハービーとコントロールパネルを背に撮ったもの。


そう遠くないうちに,またメルボルンに来る機会があると思うから,その時にはここで作ったビールを思う存分楽しもうと思う。頼むよ,ハービー & マーカス!そして,フィリップ,正子さんはじめ,ブルワリーのみなさん,ありがとうございました。必ず戻ってきますね。

…で,今日は朝のフライトで香港に移動。去年の 4 月の時点で予約していた航空券では,今日のうちの東京に着く予定だったのだが,昨年,キャセイパシフィックが羽田就航を決めた際に,成田便が減便したことと,今回の震災の影響で運行スケジュールに変更が生じたことで,僕の予約した便には乗り継げないことが判明。今週の月曜の時点で,ここ香港に 1 泊して明日の便で東京へ帰ることになった。ストップオーバーで,キャセイに指定された宿泊先は空港直結の Regal Airport Hotel。悪くない。

せっかくだから,夜の香港を味わおうと思い,ホテルで夕食をとった後,街をぶらついた。初めは観光客っぽくビクトリアピークにでも行こうかと思ったんだが,空港からだとちょっとめんどくさいし,昔行ったことがあるので,まぁ,繁華街の散歩くらいにしとこうと思って,九龍まで電車で移動し,ジョーダン・ロードを抜けて,ネイザン・ロード辺りまでぶらぶら歩いた。特に地図も持ってなかったんだけど,13 年ぶりの香港にしては,迷わずに辿りつけて自分の方向感覚に我ながら感心した。


大通りの喧騒も悪くないが,1本小道に入ると,ススキノや中洲の裏通りを思わせるようないかがわしさがあって,なかなか趣深い。ただ,日本の繁華街と違うのは,独特のこの臭い,もとい,匂いだ。スターアニスのような香辛料の香りに少し生臭い有機的な香り(←我ながら婉曲的でうまい表現だ)が混じった独特な香り。アジアに来たなぁ,という気がするし,街の持つエネルギーを感じさせる香りでもある。オーストラリアでは嗅ぐことができなかった香り。リトル・バーク・ストリートの中華街でもここまでは匂わない。

表通りにも怪しげな店は多いんだが,裏通りは輪をかけて怪しい。その中に,なぜか八王子ラーメンを発見。びみょーなところをついてくるもんだな…


しかも,仙台牛タンラーメンだったりするし…

歩き疲れた後は九龍駅近くのカフェでビールを 1 杯引っかけて帰ってきた。

明日は朝の便で成田へ。午後 2 時半頃到着予定だから,夕方には我が家へ戻れそうだ。

2011年3月29日火曜日

最後の授業

昨日,滞在している寮 (University College) で学生のチュートリアルにゲストとして参加してきた。ここのチューターの Stanley に彼の日本語のチュートリアルに出てくれと頼まれたからだ。Stanley は台湾出身で日本語を専攻していて,日本にも留学していたことがあるので,かなり流暢な日本語を話す。イギリス流のカレッジでチュートリアルで教える経験なんてなかなかないからいい機会。しかも今回の滞在中,これが初めての経験で,しかも最後の機会だ。

昨日のお題は英語と日本語のあいさつの違いについて。たとえば,日本語には食事の前後に「いただきます」「ごちそうさまでした」と言ったり,「行って来ます」「行ってらっしゃい」「ただいま」「おかえり」みたいな決まり文句があるが,英語には該当するような定型文句がない,というような話。逆に,日本人が英語であいさつされて戸惑うものの一つに "How are you?" "Fine." なんてのがあって,通常,日本語では,こんな形のあいさつはしない,とかいうような話題だった。

でも,ちょっと待てよ…と思った。確かに,"How are you?" とか "How're you doing?" を直訳しても,それに対応するナチュラルな日本語のあいさつってないよなぁ,とは思うが,ブロークンな表現でならあり得るんじゃないかと。たとえば,僕が学生の頃,

      A 「うぃーす。どぅすか?」
      B 「うーん,まぁ,ボチボチだね」

みたいなことを言ってたような気がする。まぁ,ここで「ボチボチ」とグレーな答えを返す辺りが日本人的とも言えるわけだが…あと,関西だと(普通は使わないのかもしれないけど)

      A 「もうかりまっか?」
      B 「ぼちぼちでんな」

なんて定型句(って言っていいのか?)があるよね?これなんて,まさに

      A  "How's it going?"
      B  "Not bad."

だと思うのだ。

というようなわけで,まぁ,学生と適当に日本語で話せばいいのかな?くらいの気持ちで行ったのだが,なかなか面白かったし,考えさせられた。

一方,今日は,訪問している学科のセミナーで 1 時間講演をした。こちらに来てから,このくらいの長さの講演をするのはこれで 4 回目でこれが最後。一応,ここにいる間にやっていたことのまとめ的な話をするということだった。まぁ,これも無難に終わって,ラス前の一日は無事に過ぎた。

あと残り正味一日。明日は,もう一度,あそこへ行って来ます。

2011年3月28日月曜日

記者会見

(できれば枝野クンの声で)

えー,重大な発表をします。

2 つします。
1 つは非常に重大な事態です。
もう一つは,まぁ,どうでもいいことです。

非常に重大な方から発表します。

[1] 3 月 31 日に帰国予定でしたが,この日には帰国できないことになりました

今日,帰りの便の確認を行なった。そもそも,E チケットが交付されているので,リコンファームの必要はないのだが,地震でいくつかの航空会社が日本行きの便を減らしたりしているようなので,ちょっと不安になって,搭乗予定のキャセイパシフィックのウェブサイトを見てみたというわけ。フライト状況検索があったので,日付と出発地,到着地を入力して,まず,メルボルンから香港への便を確認。うん,これは OK。次に,香港から東京への便を確認。

………

あれ? 搭乗予定の便名がリストにない…おかしいな。次に便名で検索かけてみる。

選択されたフライトを検索できません。
「スケジュール」ページをご参照の上、
入力が正しいかご確認ください。

なにぃ??かなり悪い予感。しかたがないので,E チケットの番号を入力して予約確認をしてみた。そうすると,次のような画面が…


上の CX134 便はそもそも僕が予約していたメルボルン→香港線,下の便は僕が予約したのと違う。しかも,これ,明らかに乗り継ぎできない。香港ついたときには乗り継ぎ便はもう飛んでんじゃん。これは…あれかい?滑走路で派手にジャ~ンプすれってかい?

無茶言うなよ

というわけで,キャセイに連絡して問い合わせたところ,事情が呑み込めてきた。完全に理解はしていないけれども,どういうことが起こっているのか少なくとも事実は呑みこめてきた。

要するに,こういう話。昨年,キャセイが羽田就航便を増便した際に,成田路線を1便だけ減便したんだが,その対象になったのが,僕が乗るはずだった便らしい。で,予約上は,乗り換え可能な羽田便に振り替えてくれていたらしい(恐らくそれが上の CX500便)。ところが,地震の影響で,運行スケジュールを変更したということで,当初の想定よりも CX500 が早く出発することになったっちゅうこと…おいおい,乗り換え客のことも少しは考えてくれよ。何で上みたいな珍妙なことが起こるんだか…

…てか,羽田行きに変更になった時点でなぜ連絡をくれない?

というわけで,旅行会社に掛け合って,便の変更を依頼したところ,取れた便がメルボルンの出発は変更なし。で,香港で1泊して,翌日の 4 月 1 日朝に香港発で午後東京着の便ということになった。というわけで,日本で僕を待っている皆さん,

僕の帰国は 3/31 ではなく,4/1 ですよぉ

ウソじゃないですよぉ

しかし,事前に確認して良かった。3/31 の朝,メルボルンの空港でこんな話聞くよりはナンボかマシだったな。しかし,ポジティブに考えれば…

3/31 は香港の夜をエンジョイ

できそうである。転んでもタダでは起きないのだ。


続いて,どうでもいい方の話。

[2] イソギンチャクカメラの症状が悪化しました。

記憶力のすごくいい人は僕の「イソギンチャク」カメラのことを覚えているかもしれない。事情のわからない方は,先にこちらを参照のこと。

で,このカメラ,この週末くらいから,かなりヤバい。電源を切ってもレンズが収納されない。飛び出たまんま。で,電源を入れ直すと,

ウィーン,ガチャ,ウィーン,ガチャ

とレンズが出し入れを繰り返し,そのまま電源が切れる。

おいおい,電源入らないじゃん

この時点でかなり焦った。でも,何度繰り返しても状況は改善されないので,電源切った状態で飛び出ているレンズを強引に手で押し込んでみた。ちょっとイヤな音がしたが,見た目元通りになったので(それでいいのかよ?),この状態から電源を入れ直してみた。すると,通常通り立ち上がりましたわ。でも,その後,また電源を切ると,レンズは出たまま引っ込まず。

というわけで,電源を切っては,レンズを無理やり手で押し込み,ということを繰り返して,言わば

出るレンズは打たれる

状態で酷使しております。だって,他に手段がないんだもんよ。まぁ,賞品でもらったカメラだから贅沢は言えない。しかし,このまま酷使していると,そのうち,このイソギンチャクが根っこからポロっと取れるんじゃないかと思って,かなり冷や冷やしている。出る杭を打つ方にもそれなりのストレスがあるという社会的通念を今回学びました。なんのこっちゃ。

…しかし… 

お願いですから,香港の夜景を撮るまで持ちこたえてください。

おあとがよろしいようで…


2011年3月27日日曜日

ラストスパート

えー,いろいろな理由により最近更新が滞ってました。いろいろな理由は別に書くほどのことでもないのでスルーして,ここしばらくの近況報告をば。


22 日 (火)
アデレードの最終日は,Coopers のビール工場見学へ。


平日ということもあったんだろうが,見学者は僕 1 人のみで,担当の兄ちゃんとマンツーマン。そのせいか雑談しながら,普段見せてもらえないところを見せてもらったりできて良かった。見学後の試飲も,ここで作っているビール全 11 種類を呑むことができた。本当は 12 種類だが,low carb ビールは,呑むか聞かれたので断った。そしたら兄ちゃん「オレもこれは呑まん」だってよ。アンタが言っちゃいかん。正直なのはいいけど。呑んだ中では特に vintage の年代が違う 2 種類を呑み比べられたのが収穫。ここのビールはオーストラリアではどこに行っても呑めるほどメジャーだが,中には出来のいいものもあるので,他の大手のビール会社と比べると,侮れない面もあると思う。


23 日 (水)
前夜にパースに移動し,この日がパース初日。パースは 15 年ぶりの訪問。今回の滞在中,初の西オーストラリアだが,これでこの 1 年間で,オーストラリアのすべての州・地域を廻ったことになる。この日は市内のアートギャラリーやら造幣局やらを見て回ったが,市内を流れるスワン川に面したところに The Old Brewery というビール醸造所があるということで,当たり前のようにそこを訪問。


5 種類あるバリエーションの中から Wheat,Brown Ale,Pale Ale の 3 杯をいただく。Wheat はバナナやクローヴの香りが楽しめる南ドイツ伝統のスタイル。Brown はナッツやビスケットのようなモルトアロマが支配的なエールで,英国伝統だと思うが,ここオーストラリアでも多く呑めるタイプ。Pale Ale は,フルーティなアロマとしっかりした苦味が特徴で,どちらかというとアメリカンタイプのエールだと思う。いずれも平均点以上のクオリティだと見たが,僕の持っている文献には出ていないブルワリーなので,ここで発見できて良かった。やっぱり現地に足を運ぶと思いがけない出会いがあるもんだ。


24 日 (木)
パース 2 日目は,フェリーでフリーマントルの街へ行き,ここで 1 日過ごした。まずは,比較的メジャーな地ビール Little Creatures の本拠地へ行き,前にも呑んだシングルバッチの East Kent Goldings Ale を呑む。その後,フリーマントル監獄などを見学し,夕方,もう一つのブルワリーパブ The Monk Brewery を訪問。ここでは,テイスティングトレイでレギュラーの 6 種類のビールをすべて試飲。


左からケルシュ,マイルド,ウィート,ラオホ,ペール,ポーターと言われたんだが,呑んでみると,左から 3 番目と右から 2 番目のビールがどう考えても逆っぽかったので,店員を呼んで指摘。で,やっぱり兄ちゃんの置き間違えであることが判明。色から考えても右から 2 番目はウィートっぽいし,香りを嗅いだ時点で明らかに違いがわかる。だまされちゃいかんのだ。その後,この店の向かいにも良さげなパブがあったので,そこに突入すると,世界中のビールが 40 種類ほど置いてある名物パブだった。その名を Sail and Anchor という。で,ここのフラグシップビールの Sail & Anchor IPA と Brass Monkey Stout をいただく。前者はアプリコットやブーケを思わせる華やかな香りと長く尾を引く強い苦みに特徴がある複雑なペールエール,後者はチョコやバニラの香りとエスプレッソのような苦味が特徴のオートミールスタウト。どちらも上出来。The Monk の後,すぐに帰らずに寄り道をした自分を自分でほめてあげたいと思った。ホントに。ちょっと自分の嗅覚に自信を持ったのだった。


25 日 (金)
さて,パースに来てから毎日呑み歩いているわけだが,この日は究極。パースから車で 30 分ほどの位置にあるスワンバレーというワイナリーで有名な地域へのツアーに参加。ただし,ワイナリーツアーではない。スワンバレーにはワイナリーだけでなくブルワリーもいくつかあるので,そこを廻るという Beer Nuts Brewery Tour というのに参加した。


廻ったブルワリーは Feral,Ironbark,Elmar's in the Valley,Duckstein の 4 箇所。特に Feral は,メルボルンのパブでも White Ale や Hop Hog IPA,それに新作の India Black Ale などを呑んで感銘を受けたブルワリーだったので,ここを訪れたいがためにこのツアーを探し当てたようなもの。ツアーガイドの Martin さんがまた気さくな人で,7 人という少人数でのツアーであることもあり,楽しかった。ツアーで撮った写真を後日メールで送ってくれるというサービス付き。まぁ,呑んでる時の写真は自分じゃあんまり見たくないんだがね。というわけで,3 日間呑み通したパースから夜の便でメルボルンへ帰り,僕のオーストラリア滞在もいよいよカウントダウンに入ったわけである。


26 日 (土) ・ 27 日 (日)
週末の 2 日間は,いずれも午前中から昼にかけて用があったのだが,午後からは F1 のオーストラリア GP を観てきた。バーレーンの動乱で思いがけず今年の開幕戦になったこともあり,世界からも注目されているレース。コースも一周 5km 以上に及ぶアルバートパークの湖畔を回る美しい一般道コース。レーサーの評判も高いらしい。ここ最近のスポーツイベントではどこもそうだが,ここでもフェラーリなど一部のチームがシャシーに「ガンバレ日本」のメッセージを描くなどして日本の復興への祈りを捧げていた。日本人ドライバーを擁するザウバーは言わずもがな,だけれどね。


日曜の決勝レース前には黙とうも行なわれた。僕の買ったチケットは週末の 2 日間共通の General Admission に,サーキット横の Music Zone でのライヴイベント "Sidetracked" も観られるというもの。スタンドでレースを観ることはできないが,この Music Zone が,ホームストレート直前の最後の鋭角コーナーに面しているので,フェンス越しにかぶりつきで観戦することができて,それなりに見応えはあった。帰ってきてから,ザウバー勢が失格になっていたのを知って唖然としたけれど…。ライヴの方は,土曜夜はボク的には鉄板の Birds of Tokyo,日曜夜の大トリは,メルボルン出身としては現役で一番の出世頭であろう The Living End。ロカビリーにも影響を受けたタイトなパンクロックを聞かせるバンドだが,さすがご当地ということで,若い層からオッサンまで全員が大合唱していたのにはちょっと面喰った。


というわけで,遊び倒したこの一週間。僕のオーストラリア在外生活も残り実質あと 3 日。この 3 日間には若干仕事もあるので,そっちもキチンと締めないばね。

2011年3月21日月曜日

ポートアデレード

今日は電車でポート・アデレードまで足をのばした。ポート・アデレードのビジターセンターはなかなか素敵だった。


ここに来た目的は,当地のブルワリーパブを訪ねること。その名は

Port Dock Brewery Hotel

テイスティングプラッターがあったので,それをオーダー。これだとここで醸造している6 種類すべてのビールを味わえる。


右から IBU (International Bitterness Unit) の高い順に並べられており,
  1. Black Diamond Bitter (30 IBU)
  2. Hopfield Lager (25 IBU)
  3. Port Dock (20 IBU)
  4. Old Preacher Strong Ale (18 IBU)
  5. Black Bart Milk Stout (18 IBU)
  6. Ginja (3 IBU)
ちなみに,左端の Black Diamond が少し減っているのは,右から 2 番目の Milk Stout が遅れて出てきたのだが,待ち切れずに呑んでしまったため。失敬。

中でも特徴的だったのは,コーヒーの香りを楽しめる Old Preacher とラクトースを加えて甘みが強調されている Black Bart。Ginja はショウガを加えたジンジャービール。度数は 3% と低めで,どちらかというとソフトドリンク風。

今日の僕の一番のお気に入りは,左から 2 番目の Hopfield Lager。


学生時代 Hopfield モデルというニューラルネットワークの研究をやっていたこととは何の関係もなく(そりゃ,関係ないわ),ただただ,このビールの出来が興味深かった。ブーケのような華やかな香りと桃を思わせるフルーティなフレーバーが特徴。ちょっとラガーとは思えない出来。ボディもねっとりと舌にまとわりつくような重さがあり,おもしろい。

呑んだ後は,ポートアデレードの古い街並みをぶらぶら散策。どんより曇っていたので,涼しいのは歓迎だったけれど,もう少し陽が射していればもっと良かったかな。

2011年3月20日日曜日

バロッサ

昨夜の便でアデレードに着き,今日から 3 日間ここで過ごします。

今日は,朝からバロッサ・バレーへのワイナリー・ツアーに出かけました。
あらかじめブッキングしておいたんだけど,89 ドルで 5 箇所のワイナリーを廻るというもので,なかなかお得だったと思う。内容はわからんけど,倍くらいの料金をとるツアーもあるからね。

今日訪れたワイナリーは
  • Wolf Blass
  • Maggie Beer Bros. 
  • Barossa Valley Estate
  • Langmeil
  • Chateau Tanunda
の 5 箇所。下の写真は Langmeil の open vessel による仕込みの様子。この色がたまらんよね。



今回は 6 組 8 名だけという少人数のグループで,参加者はオーストラリア,ドイツ,デンマーク,シンガポール,日本(僕ね)と国際色豊かでなかなか楽しかった。

明日から 2 日はアデレード市内のブルワリーなどをぶらぶら廻る予定。

そうそう,この一週間の旅は基本的に酒蔵廻りなのです。

2011年3月18日金曜日

近況報告

えー,いろいろありました。

ここ 2,3 日サボってたんで,生きてることの証明に手短に近況報告します。ただ,ちょっとずつ日本と関わりがあるのがおもしろかったりする。

16日(水) 
メルボルンパークの Rod Laver Arena にサンタナのライヴを見に行きました。座席はアリーナ席前から 7 列目でかなり砂かぶりに近い。前のおねーちゃん 4 人組がずーっと立ち上がって踊りまくっているもんで,必然的にずっと立ち見。いやぁ,でも楽しかったね。カルロス・サンタナ,ちょい説教臭かったけどね。フロント・アクトのバンドのヴォーカルが「東京」って書いた T シャツを着て出てきたり,カルロス御大もステージから日本に祈りを捧げ,会場から拍手が起きるなど,日本人的には落涙必然な出来事もありました。満足。

17日(木)
仕事を早めに切り上げ,16:30 から Federation Square で行なわれた Microbrewers Showcase という地ビールのテイスティングイベントに知り合いの Tommi と一緒に出かけました。会場では,Thunder Road Brewing ヘッドブルワーの Harvey とも遭遇。彼は,僕のことを「コジマサン」と呼んだり,ブログのアドレスから「Mr. Wizard」と呼んだりする。いや,そんな大した者ではないんですけど。今回,僕の一番のお気に入りは,これまで出会ったことのないブルワリー Boatrocker Brewery のピルスナー Hoppbier。ジャーマンスタイルのピルスナーだけれども,フルーティなアロマとフレーバーに溢れていて,ひと味もふた味も違う。本当に美味かったです。3 時間近く,美酒に酔いました。その後,Little Lonsdale Street の Horse Bazaar というバーで Fundraiser for Japan というイベントがあるということで覗いてきました。普段あまり日本人コミュニティと関わりがないので,この 1 年で一番日本人密度の多い空間に身を置いた気がした。がんばれニッポン。

18日(金)
今日は,午前中,メルボルンのシティから少し離れた Monash 大学の Clayton キャンパスに行って来ました。目的は,米プリンストン大学の Sergio Verdu 先生の講演を聴くため,講演題目は "Non-Asymptotics in Information Theory"。情報理論では,データサイズが無限長の場合の漸近的性質を考えて通信路容量などを評価するけれども,現実のパケット通信などにおいて,パケットサイズが有限長だった場合に,容量からどの程度のマージンが生じるか,というのを理論的に考察したという話。とはいえ,統計量で議論することに変わりはないわけで,どちらかというと現実的な符号そのものを用いた通信方式を考えることが多い自分としては,興味深い内容。Verdu 自身もヴィクトリア州に来たのは初めてだってことで,遠出したかいがあった感あり。ちょっと PR 不足で聴衆が少なかったのは何とももったいない感じがあったけど。

ちょっと早めに会場に着くと,まだ普通に学部の授業が行われていました。Monash を数年前に退職したという先生も来ていて,授業が終わるまで廊下で雑談していたんだけれども,「Undergraduate の学生は歳を追うごとに幼く見えていく気がする」とボヤくので,「学問的にも精神的にもね」と僕が応じると「そそそ,そうなんだよ,その通り!」だってよ。日本でも豪州でも,教育機関が抱える問題は共通しているらしい。ちなみに,僕が日本人だと知ると,彼も僕に家族や友人は大丈夫か,と聞いてきました。ホント,今,世界の中心は日本です。特に愛は叫ばないけど。

19日(土)
おいおい,まだやがな。まぁ,あぷろきしめっとりーいこーるではあるけど。というわけで,明日は,昼からメルボルン CBD にある Japaneasy で日本とクライストチャーチ支援のためのチャリティーマーケットがあり,僕も裏方として協力する予定です。こういうお祭り的なイベントは昔の血が騒ぐっつう感じがあるね。今回の震災は戦後最大といわれているけれども,東北地域は東京ほどの大空襲は受けなかったわけだから,ある意味,過去 100 年で最大の大惨事と言えるのかもしれませんね。サンタナも,そしてメルボルンに住むオージーたちも日本のことを気にかけている。世界中が日本を応援しています。我々の活動も少しは日本のためになればなぁ,と思っています。

明日のマーケットは 18:00 まで続くんですが,僕は 17:00 頃失礼して,アデレードへ飛びます,飛びます。

多分,明日のこのページはアデレードからお伝えします。

したっけ,ばい。

2011年3月15日火曜日

アジアの祈り

今夜は 6 時半頃まで仕事して,その後,Etihad スタジアムにサッカーのアジア・チャンピオンズ・リーグ (ACL) 1 次リーグ第 2 節,メルボルン・ヴィクトリー対済州ユナイテッド戦を観に行った。日本にいても ACL の試合を見に行ける機会はなかなかないし,先日行なわれた第 1 戦でガンバ大阪に大敗し,監督が

もう日本のクラブとなんかやりたくないよぉ !

と弱音まで吐いてしまったメルボルンがどんな試合をするのか,という興味もあった。

試合開始直前,レフェリーや選手が入場した直後,それは起こった。

場内アナウンス…

全員御起立ください。
日本における地震と津波による犠牲者のため,
1 分間の黙とうを行ないます。


よく考えれば,アジアの大会であり,同じグループには日本のクラブであるガンバ大阪がいるし,2 週間前にはメルボルンが開幕戦を大阪で戦っているわけで,こういうこともやるよね,と思う。しかし,今日は,久しぶりに(スイマセン)まともに仕事をしたので,ちょっと脳が疲れてきたこともあって,ここまで思いが至らず,不意を突かれて胸が熱くなった。

1 分間の黙とう中,ここ数日,誰に会っても家族や友人のことを聞かれたこと,心配や不安が募ったことなどが思い出され,黙とう後に場内が大きな拍手に包まれた瞬間,流れる涙を禁じえなかった。

隣で見ていたファミリーのお父さんがそれに気付いたのか,

韓国人かと思ってたけど,日本人か ?

と話しかけてきた。

そうだよ,でも,今日はメルボルンサイドにつくよ

と答えると,

オーケイ,じゃ,一緒に楽しもうぜ

と言ってくれた。

日本のみなさん,アジア中が応援していますよ


さて,試合の方であるが,メルボルンは前半 37 分にに先制したものの 5 分もせずに追いつかれ,後半終了間際 84 分に勝ち越しを許すと,即席日豪合同サポーターの応援のかいなく,そのまま 1-2 で敗れた。前にこのチームの試合を見た時も思ったんだが,攻撃重視なのか,ディフェンスはラインではなく「点」で守っている感じで,カバーも少なく,ちょっとしたミスで相手の攻撃をフリーにしてしまう。一方の済州はある程度ラインをコントロールして,ツボでは全員で引いて守る感じで,メルボルンがロングボールで裏を取るような場面もあったものの,なかなか思うように試合を支配できなかった。サッカーは点取りゲームであるわけで,攻撃が重要だと考えることは理解できるが,それだけではアジアの壁は破れそうもない。

さて,このグループはこの 2 チームとガンバ大阪,それに中国・天津泰達を加えた 4 チームで争われる。2 位までが決勝トーナメントに進出するが,ガンバの力が一つ抜けているので,後の 3 チームが 2 位争いをすることになる。開幕して 2 連敗,未だ勝点 0 のメルボルンはかなり厳しいと言わざるを得ない。

なんか肩入れして応援してたんでモヤモヤする。…とか書いている間に,中国は天津でガンバのアウェイ戦が始まったようだ。ここはぜひ,ガンバにスカッと快勝してもらって,日本に明るいニュースを届けてもらいたいものだ。

もう一度,言おう。

日本のみなさん,アジア中が祈ってくれているよ。

2011年3月12日土曜日

May the Force Be with You

日本の状況も気になるところではあるのだが,今夜はメルボルンのタウンホールに MSO (Melbourne Symphony Orchestra) のコンサートを聴きに行った。その名も

STAR WARS and Beyond

題名から予想される通り,作曲家 John Williams の映画音楽を演奏するというもの。

いるんじゃないかと思っていたら,やっぱ,いたいた。


ちなみに,会場内でも…


この人達,この恰好で普通に客を座席に誘導したりしてて,かなり可笑しかった…

指揮者は Anthony Inglis で,このオジサンのトークとコスプレが炸裂して,非常にエンターテインメント性の高いコンサートだった。まぁ,普通,指揮者はコスプレしないと思うが…

たとえば,「スーパーマン」では,ワイシャツの下に "S" マークの青 T シャツを隠し着ていたり,スターウォーズのレイアのテーマでは,レイア姫のヅラかぶったり…などなど。帝国軍のマーチのときには,ベーダー卿もご登場。ちょっと,呼吸音が耳ざわりだったけれども。

曲はおなじみのものが多いが,映画のタイトルからどんな曲だかイメージできなくても,曲が流れると「あ,これか!」と思えてしまうから,侮れない。

しかし,日本のことも頭の片隅で気になっているので,「シンドラーのリスト」は鎮魂歌のように聞こえて泣きそうになったし,ラスト,スターウォーズのフィナーレは,被災地の復興へ向けての応援歌のようにも思えた。

遠く祖国を離れていると,家族や友人に言葉をかけたり,海外で報道されている内容を知らせてあげることくらいしかできない。なんとももどかしい気分になる。こんなことしか,言えませんが…

フォースのともにあらんことを…

ホント,気が利かなくてスイマセン。

《演奏曲目》
  1. Olympic Fanfare and Theme
  2. Jaws: The Shark Theme
  3. Lost in Space
  4. Jurassic Park: Theme
  5. Memoirs of a Geisha: Sayuri's Theme
  6. JFK: Theme
  7. Harry Potter and the Philosopher's Stone: Hedwig's Theme
  8. Far and Away: Suite
  9. Catch Me If You Can: Closing In
  10. Superman: March

    - Interval -

  11. Raiders of the Lost Ark: March
  12. Close Encounter of the Third Kind: Excerpts
  13. Schindler's List: Main Theme
  14. The Phantom Menace: Suite
  15. Star Wars: Suite
    Princess Leia's Theme
    Imperial March
    Yoda's Theme
    Throne Room and Finale

    - Encore -

  16. E. T. : Bike Ride and Chase

2011年3月11日金曜日

地震概況

今日の午後,三陸沖と茨城沖で起きた地震について,我が家の現況を報告。
  • ヨメ(横浜勤務)はJRが運行を見合わせたため,今日は帰宅できず,会社の食堂に宿泊。食料や水,毛布などの支給は受けているとのこと。
  • 小学1年の長女は家の鍵を持っているということで,下校後通っている学童クラブから,職員帯同の下,一度は帰宅。ただ,怖くなって泣きながら長男の通う保育園(アパートの真向かい)に駆け込んだとのこと。2人の子供とも夜まで保育園で預かってもらっていたところ,仲良しの友達のお宅で今夜泊めていただけることになり,先ほど,お宅に到着したとの由。とりあえずはひと安心。
  • で,僕は日本を遠く離れているので,ただ心配するばかり。ただ,携帯電話が全く通じないため,ヨメから学童や保育園への連絡を入れられず,急きょ,僕から Skype 通話で国際電話をかける羽目に。その程度の協力しかできないけれど。
  • 我が家内部の被害状況は不明だが,自宅の留守番電話に通じたので,少なくとも電話機は壊れていない模様。
  • 東京の僕の研究室は…わからないけど,まぁ,いいや。でも,学校には帰れなくなった学生たちが泊まっているとのことなので,心配ではある。
というわけで,ボクの周囲では,幸い今のところ,大きな被害は起きていません。

取り急ぎ,以上,報告まで。

追伸: やっぱりクジラや雲は地震の前触れだったんですかね?

2011年3月10日木曜日

マリアージュ

今夜は Thunder Road Brewing の正子さんとフィリップと一緒に Collingwood にある Josie Bones というビアレストランでディナー。この店はオーストラリアでは Master Chef の一人としても有名でビアテイスターでもある Chris Badenoch 氏の店である。


ちなみに店の中にはホモサピエンスと思われる新鮮(?)な肉の装飾も…

St. Kilda の Local Taphouse で行なわれた GABS の際に出会った寿司屋の息子 James もここで働いているが,彼のビールに関する知識もハンパではない。

というわけで,メニューから料理を適当にチョイスし,それに合うビールを持って来てもらう,というスタイルで食事をした。

オイスターにパリパリの海苔とビールで作ったゼリーを乗せたもの,
それに小海老の唐揚げ

これに合わせるビールは,
チェコの Budweiser Budvar ダークラガー
シーフードとの相性は最高。

続いては
 キングフィッシュのタルタル風

これは何と日本の地ビール
常陸野ネストビール・レッドライスエールと合わせる。
イチゴのようなフルーティなフレーバーが料理と完璧にマッチ。

続いての料理は
ブラックプディング

これはデンマークは Mikkeler の Funky e ★(ファンキースター)と合わせる
ベルギーの修道院ビールを思わせるスパイシーなフレイバーが
肉料理によく合う。

次はチェリートマトのサラダと牛のたたき

チェリートマトの方には,ニュージーランドの Tall Poppy India Red Ale
フルーティーなアロマと爽やかな苦味が甘いトマトとハーモニーを奏でる。

牛のたたきと一緒にいただいたのは
ニューヨークのブルワリー Southern Tier のPhin& Matt's Extraordinary Ale と日本の名古屋赤味噌ラガー
この 2 つのビールは対照的なスタイルだけれども,前者は料理を引き立て,後者は料理に負けないという意味でどちらもアリ。

そしてデザートはパッションフルーツを使ったクリームブリュレをスコットランドのブルワリー Brew Dog の Trashy Blonde Ale と一緒にいただく。
このビールは,フルーティなアロマと強い苦みが特徴で,デザートと共に食することで,苦味が引き立ち,えも言われぬ後味を醸し出す。
ちょっとオレンジリキュールを足すと香りが引き立つというので試してみたが,これまた絶品だった。

いやぁ,食事もビールも素晴らしく,コンビネーションも最高だった。ここまでビールと料理の両方にこだわり,顧客に完璧なアドバイスをくれるビアレストランは日本でもちょっとなかなか見つけられない。オーストラリアのビール文化は確実に熟成しつつあるように思うよ。ただ,今日サーブされたビールにオーストラリアのビールがなかったのが残念といえば残念だが。

ところで,フィリップがぜひ見せたいものがあるというので,見せてもらったら,何と,車のナンバープレート…


いやいや,マジ,ビール狂である。このプレートに負けないビールを Thunder Road でぜひ呑みたいものだ。僕がもう一度メルボルンを訪れた暁には…だが。


2011年3月9日水曜日

セミフォーマル

オーストラリアという国はドレスコードはユルい

前に,フェリーターミナルで見た「最低限のドレスコード」のことを書いたとおり,本当にユルい

レストランなどでも,Tシャツやサンダルでも OK のところが少なくないし,ちょっとキチンとしたところでも,せいぜいスマートカジュアルで何とかなる。

そういう意味で,この国で服装が原因で入店を断られたりしたこともほとんどない。

「ほとんど」と書いたのは,ただ 1 回だけあるからだが…
(夜,CITY のとあるパブに短パンとサンダルで入ろうとしたら NG だった…)

さて,今日は,University College で Scholars Dinner という夕食会が行なわれ,僕も招待されて出席した。この催しは,ここの寮の学生のうち,学業成績が優れた者に奨学金を授与するというもので,ディナーをとりながら,それを祝うという趣旨。出席者は該当の学生と,ここのスタッフやチューター,それに奨学金を出している個人や団体の代表者らだ。で,このディナーのドレスコードは「セミフォーマル」。

一応,1 年住んでいると何があるかわからないので,スーツは持って来てはいた。でも,大学で着たことは一度もない。でも,この寮に住んでいると時々,こういう機会があるので,ここのイベントで着たのはこれが 3 度目ということになる。

日本も,このくらいユルいと生きやすいんだけどね。

2011年3月8日火曜日

一応,制覇

えー,ビール工場,大手のビール工場のラインって,まぁ,どこで見ても大差ないんだよね。日本ではサッポロやサントリーなんかを見学したし,ここオーストラリアでもタスマニアで Cascade と James Boag's を見学した。

で,メルボルンの CBD から 20 分のアボッツフォードという地区にも実は大手の醸造所がある。カールトン醸造所 (Carlton & United Breweries) である。そんなわけで,多分,他と大差ないんだろうが,せっかく住んでいるところの近くにあるんだから,一応,行ってみた方がいいかね? と思って,行ってみた。一応,オーストラリアでは,ほぼ 50% 近いシェアを持っていて,最大のビール醸造企業ということにはなっている。


…うん,結論を言えば…大差なかったね。

まぁ,ここで作っているのもいわゆるジャーマンタイプのピルスナーで,どこでも呑めるしねぇ。案内してくれたのはジョーンというお姉さんだったが,彼女に

どこか他にビール工場行ったことある?

と聞かれたので,タスマニアでカスケードとか行った,と答えると

まぁ,どこも同じ感じでしょ? 

だってよ。

おいおい,アンタがそれを言うなよ。

まぁ,正直なのはいいけど。実際,カスケードも同じフォスターズ・グループだしね。

というわけで,1 時間強の見学内容はすっ飛ばして,最後の試飲タイムへ。3 杯テストグラスで呑めるということだったので,VB (Victoria Bitter) と Carlton Draught を呑み比べてみた。写真は Carlton。


見た目は両者ともほぼ同じ。いわゆる麦わら色で,キレイに澄んでいる。気持ち,Carlton の方が色が濃い感じがしないこともないが,「気のせい」の範囲。どちらも,ほのかにモルトの甘みは感じるものの,ホップの特徴の方が勝っているジャーマンピルスナータイプ。どちらかといえば,Carlton の方がボディや苦味,泡持ちがしっかりしていて,後味も長く続く感がある。とは言え,まぁ,大差はない。同じカネを払うなら,他に呑むべきビールはたくさんあるという感じではある。

ちなみに,黒ビールもあったので,それも呑んでみる。これ,説明には Dark Ale と書いてあったが,実際にはエールではなく,ここの他のブランドと同じ下面発酵のラガー。じゃ、Dark Lager って書けよ。


これは,上の 2 つよりはアロマもフレーバーも強くはっきりとした特徴がある。コーヒーを思わせるアロマ,モルトの甘み,苦味もしっかりしている。まぁ,これなら,ドリンカブルではあるな。ただ,ボディは弱いなぁ。

というわけで,結論としては…

サッポロビールの方がウマいね。

ビールはシェアじゃないのだ。サッポロの「クラシック 富良野 Vintage」なんて名作だぜぇ。悔しかったら,そんなの作ってみれっての。いや,マジで。

というわけで,まぁ,ある程度予想はできたわけであるが,見学内容としても試飲の内容としても,コストパフォーマンスは悪かったなぁ。

ちなみに,過去最大に感動したビール工場見学はドイツのエルディンガー。ラインの見学はまぁ,似たようなもんだが,見学後はバイエルン独特の小麦ビールを 1 時間呑み放題,かつ,茹でたてのヴァイスブルスト(白ソーセージ)も食べ放題。これで 10 ユーロ。ミュンヘンを訪れた際はぜひ,行ってください。…あれ,違うとこの宣伝になってしまった…

2011年3月7日月曜日

Save NZ Part2

あまり大した協力ができていないので,心苦しいのですが,クライストチャーチの復興に対し,メルボルン在住の日本人の間で支援プロジェクトが立ち上がりました。というわけで,以下の通り,告知します(公開されている文章をそのまま掲載します。)。


NZクライストチャーチ復興支援企画

メルボルン在住の日本人有志が中心となって「Save The Kiwi Project(以下SKP)」をスタートしました。

クライストチャーチ震災復興支援を目的とした募金活動を行います。

募金の寄付先
NEW ZEALAND RED CROSS
2011 Earthquake Appeal 
http://www.redcross.org.nz/

SKP のメンバーはメルボルンで生活をしている社会人や留学生などの有志の団体です。「自分達に何か出来る事は何か?」それを考え「自分達が今、クライストチャーチ復興支援に関してできる事をしてをしていこう」そんな気持ちを持った有志の集まりです。


「+643 Charity Market at Melbourne」

SKP 企画の第一弾としてマーケットを行います。また、この企画に引き続き4月には音楽やアートのチャリティーイベントを開催予定です!少しでも多くの募金が集まる様に皆様のご協力をお待ちしております!!

今回は、日本語学校の Japaneasy のご協力を得てそのスペースでバザー&マーケットを開催致します。ぜひ、ご家族やご友人などとご一緒にお気軽ご来場ください!

       +643 Charity Market at Melbourne
       開催日:2011年3月19日(土曜日)
       開催時間:午後2時~6時
       開催場所:Japaneasy

                    Level 4 126 Russel Street
                    Melbourne Vic 3000

もし身の回りの不要品などをバザーへ出品または寄付していただける方がいらっしゃれば復興支援の募金活動のためにご協力宜しくお願い致します。ご自宅で使わなくなったモノ・倉庫や押し入れの中、タンスの中などで眠っているモノなどを有意義に活用してみませんか?

雑貨、洋服、靴、アクセサリー、本、雑誌、DVD、CD、食器、小物類、ゲーム、スポーツ用品、キャンプ用品、おもちゃなどなど皆様のご協力を宜しくお願い致します。

会場のスペースなどの都合もありますので、サイズの大きなモノ(家具など)のお持ち込みはご遠慮下さい。
電化製品などはお手数ですが、動作確認した上でお願い致します。

バザーと同時に会場内にマーケットスペースをご用意いたしますので
出店希望者の方はぜひご連絡下さい。(出店条件:売上の一部を募金のための寄付とする事)


◆バザー・マーケット概要◆
  • ドネーションバザーエリア
    このエリアでは皆様から提供されたアイテムを販売致します。このエリアでの売上は全額をNEW ZEALAND RED CROSSへの寄付と致します。
  • マーケットエリア
    不要な物の処分はしたいけど、全部を寄付するのは難しいという方へマーケットエリアを設置します。

開催当日売上の10%をNEW ZEALAND RED CROSSへの寄付と致します。

ブースの数に限りがありますので、申込先着順とさせて頂きます。
ブースは90x60cmの机+若干のスペースの予定になっています。



ドネーションエリアへの出品寄付に関して

当日、Japaneasy へ直接お持ち下さい。午後 1 時から現地にて受付いたします。また、当日会場へご来場できない方で出品寄付をご希望の方は CITY の IAE 留学ネットまでご持参ください。その際は、事前に担当者までメールにてご連絡をお願いいたします。

IAE Level5 250 Collins Street Melbourne
TEL: 03-8626-9340
月~金 9:30~18:00
担当者:ナオキ

email: savethekiwi @ live.jp (←全角文字を使用しています)

IAE へのご持参が困難な方はメールにてスタッフまでご相談下さい。


マーケットエリアへのお申し込み

件名を「マーケット出店希望」とし、下記の必要事項と合わせてメールにてお申し込み下さい。

     マーケット出店責任者名
     住所
     連絡先(自宅、携帯)
     出品内容
        (例:小物、クラフト用品、雑貨など、
              ある程度のジャンルがわかる範囲で)


申込先メールアドレス
savethekiwi @ live.jp (←全角文字を使用しています)


Save The Kiwi Website
http://plus643.gjgd.net/


ご質問などイベントに関するお問い合わせ及び募金などに関するご相談は
savethekiwi @ live.jp 宛に e メールで宜しくお願い致します。


2011年3月7日
Save The Kiwi Project 実行委員代表
和田 直樹
伊集院 利彦

2011年3月6日日曜日

世界で見る日本Part2

さて,今日も昨日に続いて 2 つのイベントをハシゴ。両方とも,メルボルンにいながらにして,日本のことを考えさせられるイベントだった。一つは僕の故郷の北海道,もう一つは住んでいる東京のことを。

まずは,メルボルン博物館へ。ここは去年行なわれた特別展「タイタニック展」を見に来たことはあるが.常設展は見てなかった。でも今日の目的は違う。午後 3 時から,アイヌ民族のパフォーマンスがあるというのである。しかも今回オーストラリアを訪問したのは,有名なエカシ(長老)である浦川治造さんを含む御一行。日本でもなかなか見られないものをこんなところで目にする機会に恵まれた。公演では,一時間以上にわたって,ムックリやトンコリなどの演奏,カムイユカラの披露,最後は会場の全員が参加しての踊りと内容も充実していた。


オーストラリア人はあまりアイヌのことを知らない(少なくとも僕の横にいた女性には僕がいろいろ説明した)ようなので,興味深いようだった。それに,アイヌとアボリジニの間には共通点も多く,日豪の先住民族として,文化交流を行なうことにも深い意義はあるだろう。

パフォーマンスを表面的に観ただけでは,アイヌの何たるか,アボリジニとどう類似していて,どこが違っているか,などはわからないと思う。ただ,今日は公演の後にドキュメンタリー映画「TOKYO アイヌ」が上映されたということなので,それを見ると,おぼろげに何かが伝わったのかもしれない。

しかし,同じように文字を持たない民族であるアイヌとアボリジニであるが,これらの民族を先住民族と認める動きはオーストラリアに比べて日本が圧倒的に遅れているように思える。歴史的には白人がオーストラリアを発見し,アボリジニを発見するより,和人がアイヌを発見した方が遥かに古いにも関わらずだ。

さて,上のドキュメンタリー映画,僕は都合により見ることができなかった。というのは,今夜はもう一つ重要な映像作品を見ることになっていたから。その映画とは,2006 年のイラン映画,ジャファール・パナヒ監督作品

『オフサイド・ガールズ』(Offside)

邦題はちょっとアレなんだが,素晴らしい作品だった。日本でも 2007 年に公開されているので観た方も多いだろう。2006 年ドイツワールドカップのアジア最終予選,イラン対バーレーンの試合が行われているテヘランのアザディ・スタジアムが舞台。スタジアムは女人禁制であるイランで,サッカー狂の女の子たちがあの手この手でスタジアムに潜り込もうとする。男装をした彼女たちが警備員につかまったり脱走したり,のドタバタを描いたコメディだが,一方でイスラムの戒律の中で女性が抱える問題を鋭く描き出した社会派の傑作である。

映画の中では,「日本人の女の子はスタジアムで試合を見られるのに」とか「私の友達が日本対イラン戦で死んだ 7 人のうちの一人だった」というようなセリフが出てくる。日本対イラン戦の試合後,興奮したイラン人サポーターが出口に押しかけ多くの死傷者が出たのだ(この事件については,こちらが詳しい。)。ちなみに,ジーコジャパンはテヘランで行なわれたアウェーのイラン戦は 2-1 で負けている。一方,この映画の舞台となったバーレーン戦でイランは勝利を挙げ,最終戦,横浜での日本との直接対決を待たずに,日本とともにワールドカップ出場を決めている。映画では,イラン代表のマハダビキアやアリ・ダエイ,カリミ,ハシェミアンらの名前も出てきて,アジアのサッカーを知る者はより楽しめる。

おっと,話がそれた。

で,この映画の監督,ジャファール・パナヒ氏の名前に見覚えのある方も多いだろう。昨年の暮れ,反体制的なプロパガンダを行なったとして,懲役 6 年,加えて 20 年間,映画製作,脚本執筆はおろか,海外への渡航,国内外のメディアのインタビューに応じることまで禁じるという判決を受けたことが報じられた。50 代の監督にとっては死刑にも等しい判決だ。彼がしたことは単に「劇映画」を撮っただけなんだが。今年のベルリン国際映画祭では,彼の解放を求めることを目的として,彼は審査委員の一人として招待されたことも記憶に新しい。今回のメルボルンでの上映も,彼の拘束に抗議する行動の一つというわけである。

しかし,日本でも,イランほどではないものの,表現を規制する不穏な動きがあることは何とも気持ちが悪い。東京都議会で可決された法案は表現そのものを規制するものではないとは言え,この波が日本国内に拡散し,拡大解釈されることで,どのような恐ろしい未来が待っているのか,ちょっと想像したくない。その意味でも,この春の都知事選は重要である。選ぶのは我々だ。心してかかれ。

2011年3月5日土曜日

世界で見る日本Part1

今日の行動は 2 部構成。まず昼間は,前から行こうと思っていた MCG (Melbourne Cricket Ground) のスタジアムツアーに参加。



ここはメルボルンオリンピックのメインスタジアムであったわけだが,今は,夏はクリケット,冬は footy のスタジアムとしてフル回転している。スタジアム内ではメンバー限定のエリアに入ることもできたり,経験豊かなガイドが粋なジョーク交じりに説明してくれてなかなか楽しかった。

地下は国立スポーツ博物館になっていて,ここも見学。オーストラリアのスポーツ,特にフットボールとクリケットの歴史に加え,MCG の歴史,オリンピックや競馬などに関する展示の他,各種のスポーツを実体験できるエリアもあってなかなか面白かった。オリンピックの歴史に関する展示では,1940 年に予定されていた東京の夏季五輪と札幌の冬季五輪が日本軍の満州侵攻のためにキャンセルされたこと,そしてそれぞれ 1964 年と 1972 年に復活開催されたことも説明されていた。

一方,夜は ACMI で溝口健二監督の『瀧の白糸』を弁士の説明つき(もちろん日本語)で観た。日本でもなかなか観る機会がないので,少なくとも僕にとってはビッグチャンスだった。今日の弁士は片岡一郎さん。映画はもちろん,オーストラリア人も多く見に来ているわけで,映像に英語字幕,それに弁士による日本語の説明がつけられるという趣向。これがなかなか面白かった。上映前に片岡氏本人からも言及があったが,映像についている日本語字幕は片岡氏の師である澤登翠さんの台本を英訳したものということ。今日の弁士の片岡氏は自身の台本でやるということで,これが微妙に違っていて面白い。字幕が出ているところで弁士はだんまり,一方,字幕にはないことを弁士がいろいろと喋る,などなど。サイレント映画を活弁付きで観る醍醐味だ。弁士自身による演出で,雰囲気も少し変わって見える。

しかし,日本で活弁付きで観ることができても,英語字幕はないわけだ。今日は,字幕を眺めながら日本語を聴いていたもので,2 人の弁士の話を同時に聞いているような妙な錯覚を覚えながら観ることができた。これぞ,海外ならでは。師弟関係にある弁士二人の勘所の違いも少しわかって,会場にいた日本人は,オージーよりも豊かな映像体験ができたと思う。

片岡さん,ありがとうございました。大いに楽しみましたよ。

さて,実は明日も,ここメルボルンで「日本」を観る予定…いや,「日本を」と言うべきではないのかもしれないけど…詳しくはまた明日。

2011年3月4日金曜日

冬を呼ぶスポーツ

今日のメルボルンは寒かったぁ。最高気温 18 度。長袖にコートを羽織って外出。

どこに出かけたかというと,アパートのすぐ横 Princes Park 内にある Visy Park という競技場に footy の試合を見に行った。AFL (Australian Football League) は秋にシーズンイン,冬の間がメインで,春にはシーズンを終了する。ラグビーとほぼ同じ季節に行なわれる。一方,夏はサッカーとクリケットが主流だ。というわけで,今,footy はシーズン前で,NAB カップというトーナメント方式のカップ戦をやっている。このカップ戦で負けたチームを対象に NAB Challenge という,いわゆるプレシーズンマッチのカードが組まれるという仕組みになっている。今日のカードは地元カールトンアデレード


公式戦ではないので,チケットは当日売りのみで,公式戦の半額以下。10 ドルぽっきり。そのせいもあるのか,地元サポーターを中心に意外と人が入っている。

平日の昼間なんだが…


試合開始の 16:00 が近づくと,地元のオッチャンたちが続々とスタンドへ…

へ,平日の昼なんだが…

まぁ,平日の昼間に見に来るだけあって,このオッチャンたちの中には熱狂的な人も多い。ヤジもいつもよりきつめだったと思うけど,これ聞いてるだけでも結構楽しい。調子いいうちは

ブラボー!

とか言ってるわけだが,動きの悪い選手がミスしたりすると,

小僧!身体使えよ!バカもんが!!

とか。まぁ,これなんて活字にできるだけまだマシだ。しまいには,審判の判定に腹を立てて,

てめーら,公務員だろ!公僕だろ!税金返せ!

だってよ。

いや…レフェリー…公務員ではないと思うが…多分…

ちなみに試合の方は結構接戦だったが,最後はカールトンが 100-76 で勝利。ハーフタイムなども含めると試合時間はトータルで 2 時間半。黙って見ているとこの寒さは堪えたが,地元の勝利で,オッチャンたちもいい感じのほろ酔い加減で家路についたことだろう…いや,パブ路か?

この Visy Park,もともとはカールトンのホームスタジアムだったところで,今も本拠地としては使っているが,公式戦は開催されない。いつもこの周りをジョギングしているけれど,中に入ったことはなかったし,一度来てみたかったからちょうど良かった。

しかし,生で footy 観るのも今回の滞在中,これが最後かなぁ。

2011年3月3日木曜日

味噌蔵

オーストラリア滞在も残り 1 ヶ月となり,今頃になって,あちこち行っておかなければならないところが残っていることに気がついた。で,カレンダーとにらめっこしながら,ある程度予定の目星をつけた次第。その中にはメルボルン近郊のブルワリーもあるのだが,ところにより,パブリックにオープンしている日が限られているところもある。木曜の夕方以降と金曜の午後のみ,とか…

木曜の 16:00 以降って…今日じゃん!

というわけで,抜群の瞬発力を活かして,電車とバスを乗り継いで約 40 分,Moorabbin という地区にある 2 Brothers Brewery を訪れた。


ここのビールは市内のパブでも呑んだことがあるが,お膝元なら普段呑めないものも呑める可能性が高い。後で述べるように今回も限定リリースにありつけた。瞬発力に感謝!

中のバーカウンターからはピカピカのタンクも見えて,なかなかいい感じだ。


さて,まずは,ラガーから。

Chief (メルツェン)


メルツェンとは,ドイツでオクトーバー・フェスト用などに多く作られるやや濃色のラガー。色はやや明るめの赤銅色という感じ。パンやビスケットのアロマが感じられ,香り,味ともにモルトの特徴が強く出たビール。ホップ由来の苦味は弱く,後味もスッキリ,あっさりしている。イースト由来の香りだと思うが,少し赤味噌に似た香りも感じる。日本人的には悪くない。アルコール度数は 6.3% とやや高め。

さて,次はここのフラグシップとも言えるエールを…

Growler (アメリカン・ブラウン・エール)


メルツェンに比べると,色は少しルビーがかって濃いめ。フルーティなホップの香りがやや強いが,一方で麦茶を思わせるような焙煎モルトのアロマもしっかり感じられる。ボディはやや軽め,カーボネーションはミディアムか。モルト由来のカラメル風味を感じるが,時間と共にベリー系のフルーティなフレーバーも感じられるようになってきた。それは悪くないけれど,苦味はもう少し,気持ち強めでもいいような気がする。不思議なことにこのエールからも少し味噌風味を感じた。

さて,最後は本日の目玉。今週だけ供されているという限定品

Guvnor Extra Strong Ale


こちらはケグではなく,ボトルでの提供。ストロングエールというけれど,どちらかというとバーレイワインだね。カーボネーションは非常に弱く,フルボディでアルコール度数も高い(10.3%)。香りはレーズンやイチジクなどのドライフルーツを思わせる甘くフルーティなエステル香が支配的。その奥でバニラを思わせるようなアロマも感じられてこれも甘いキャラクターに拍車をかける。高いアルコールを感じるので,ブランデーやシェリーを彷彿とさせる。フレーバーは,やはりレーズンのような甘酸っぱさを持っている。これは悪くないね。…ただ,これも時間が経ってくると,八丁味噌を思わせる香りを感じた…

というわけで今日呑んだ 3 種のビールはいずれも名古屋を思わせるような味わいだった。味噌煮込みうどん味噌カツと相性がいいかもしれない。いや,マジで。

バーの兄ちゃんは一度だけ日本に行ったことがあり,日本の地ビールも呑んだことがあるとのこと。よなよなエール常陸野ネストビールは美味いね,と言っていた。うん,同感。そして,他にもいいビールはたくさんあるよ。

また,日本に行って日本の地ビール呑みてぇなぁ

だってさ。1 ~ 2 ヶ月経つと僕も似たような感傷に浸るんだろうなぁ。

2011年3月2日水曜日

ワーグナーとオレ?

歌劇王ワーグナーの最後の妻の名はコジマという。


うん,そんなことはどうでもいいんだな。

今夜はいつもの Cinema Nova でドキュメンタリー映画 "Wagner and Me" の試写を観てきた。なかなか面白かった。この作品,ワーグナー自身が晩年に建立したバイロイト祝祭劇場で行なわれる音楽祭の舞台裏などを紹介しながら,ワーグナーの音楽と足跡をたどるというもの。

案内人は,この 1 月にとある問題で日本ではたいそうヒンシュクを買ったイギリスのエンターテイナー(と呼ぶのがいいのかどうか微妙だが…),スティーブン・フライ。

さて,テレビの司会者が音楽家の一生を追っただけなら,番組改編期に民放で放映される 2 時間バラエティみたいに聞こえるかもしれないが,この作品を複雑で奥行きのあるものにしているのは,ワーグナー一族とナチスとの関係である。しかも,スティーブン・フライ自身がユダヤ系で,親類をホロコーストで亡くしている。このことがまさに,タイトルの "Wagner and Me" につながっている。映画では,彼特有のウィットに富んだ会話でさまざまなインタビューなどを敢行していくが,ニュルンベルクで彼が見せたの表情は,しばらく脳裏に残る。

ちなみに,ワーグナーが登場する映画としてはヴィスコンティの『ルートウィヒ/神々の黄昏』(1972)が有名。それ以外には,あまりデキは良くないけど,『ワーグナーとコジマ』(1988)という作品もある。興味を持った向きは探し出して観てみるとよい。

繰り返すようだが…

オレはワーグナーとは何の関係もないからね。


2011年3月1日火曜日

山羊にひかれて

寺山修司作詞によるカルメン・マキさんの名曲です。

…が,その話ではない。

今夜は,この間 Slow Beer で買ったビールのテイスティングレポートを。

Mountain Goat Rare Breed IPA


実は,ケグ出しでも呑んだことはあるんだけどね。

色はカッパーがかった濃いめの琥珀色という感じ。泡は少し黄味がかっていて象牙色だろうか。ホップはカスケードとギャラクシーを使っているということだが,カスケード特有のシトラスアロマが強い。松ヤニの香りも感じる。鼻から入ってくる香りはホップの特徴が勝っているんだが,口に含むと,モルト由来のトフィーのような甘い香りが支配的になる。これはバランスのとれた IPA だ。悪くない。バランスがいい,と言った場合,ホップとモルトの両者とも控えめな場合と,両方が強く主張する場合があるが,これは明らかに後者。ホップもモルトもその特徴を最大限に主張している。オーストラリアで呑んだ IPA の中では水準が高い方だと思う。ボディはミディアムだがシッカリしているし,苦味も比較的強め。グレープフルーツを思わせるような苦味が長く後を引く。後味はその苦味と,シトラス系の酸味を感じる。ただ,ちょっと後味として残る苦味がエグくて,尖っているような感じを受ける。

全体的には,平均点を上回る IPA だ。

実は,これと一緒に Mountain Goat の Double High Tail も買ったのだが,こちらはまた後日。これも楽しみだ。

さて,3 月に入って,僕のメルボルン滞在も残り 1 ヶ月になった。とうとうカウントダウン開始。しかし,結果的に今月はいろいろ予定が入って忙しいし,行きたいところもまだある。それに呑まなくちゃいけないビールも多い。もちろん,仕事も…あることはある(←トーンダウンするなよ)。

残りの 1 ヶ月を悔いのないように過ごそう。

追伸:
      今日,お隣のマツモト先生ご一家が帰国。いろいろお世話になりました。