2 時間って長いよね
って思っても見ちゃうよね? そそそ,そんな感じ。まぁ,個人差はあるだろうけど。
で,何の話かっていうと,今夜,月曜 Nova でダニー・ボイル監督の新作『127 時間』 (127 Hours) を見てきた。実話の映画化で,今年のアカデミー作品賞にもノミネートされている。
どんな話かっていうと,主人公アーロンは,一人でロッククライミングに行くが,その途中でアクシデントに逢い,岩に右腕が挟まって取れなくなってしまう。で,腕がとれるまでの時間が 127 時間っていう…
うーん,一言でいうと何か異様にあっさりしちゃうな…
でも,そんな生やさしい話じゃない。映画の冒頭,結構早いうちに腕は挟まってしまう。観客はタイトルから,とれるまで 127 時間かかることを知っている。ここがマラソン中継に似ている。マラソン中継なら,途中景色も変わるし,先頭の選手だけじゃなく,いろんな人の様子が映し出されるが,この映画は,腕が挟まってからとれるまで,主人公の夢や妄想を除けば,この兄ちゃん一人しか映らない。しかもこの兄ちゃん,もしものために家族にメッセージをってことで,ビデオカメラに自分の様子を記録する。ちょっと古いが,何か電波少年系の企画みたいだ。
いや,そんなに悠長なこと言ってる場合じゃない。127 時間て 5 日以上だよ。5 日以上,腕が岩に挟まって取れない。もちろん,血は通わない。水も食料も切れる。挟まって動けなくても,腹は減るし,喉は渇くし,出るものも出る。携帯も持って来ていなくて連絡手段もなければ,この兄ちゃん,誰にも行き先を言わずに来ている。もう究極のサバイバル。
ベア・グリルズも真っ青な状況だ。
マラソン中継にも同じような疑問を抱く向きもあるだろうが,こんなん,ずーっと見てて果たして面白いのか? というと,これが目を離せない。ここはダニー・ボイル,映像にも観客を飽きさせない工夫を凝らしているし,主人公が次第に追い込まれていく様を絶妙なペースで描き上げる。直球と変化球をバランスよく投げ分ける百戦錬磨のベテラン投手のようだ。
こういう密室の状況ってのは,ミステリーやコメディ,ホラーなど,映画やドラマでよく使われる典型的なパターンだ。しかし,作り話でこういう状況を思いつくかっていうとなかなか…
まさに,事実は小説より奇なり…
いや,それにしても,見てる方まで痛いし辛い。アクション映画でビックリして座席から飛び上がるってのはあるけれど,ジリジリ痛くて,座席で身をよじる経験ってなかなかない。
見終わった後,隣に座ってた女の子と思わず顔を見合わせてしまった。
"... It really hurts..."
"...Yeah, I know..."
いや,ホント。マラソン中継見ててもこんなに疲れないけど,これは疲れたわー。
けだし…傑作。
日本公開は 6 月だそうだ…覚悟して臨め。
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