2011年2月8日火曜日

なまり

オーストラリアの英語には独特の「なまり」があることはご存じだろう。

16 年前,僕が初めてオーストラリアに来た時,レストランで支払いのとき,

パイン,キャッシュ?

と聞かれ,

この国はマツボックリをカネの代わりに使うほど未開なのか…

とまでは思わなかったが,何のことかさっぱりわからんかった。少しやり取りして,やっと

Pay in Cash ? 

と聞かれたことを理解した。

さて,先週行われたワークショップで,ある講演を聴いているとき,やたら

ア・キー・キー

と繰り返す。何キーキー言ってんだろう?と一瞬分からんかったんだが,その直後,スライドで情報量基準 AIC が出てきて,やっと理解した。

そう,AIC は Akaike Information Criteria と呼ばれる。日本語では赤池情報量基準。「ア・キー・キー」は「赤池」だったのか。Akaike だから,正確には

ア・ケイ・キー

と言っていたんだと推測される。「アカイケ」なんだけどねぇ。でも,講演者はオーストラリア人でオーストラリアなまりも若干あったから,どっちかっていうと,

ア・カイ・キー

と発音しそうなもんだけどな。これだったら恐らく文脈から予想できたような気がする。固有名詞だから,なまらないように気をつけたんだろうか?でも,この場合,なまった方が正解に近いのよね。いやぁ,残念!

ここで 1 年も暮らしていると,こっちのなまりがすこーしだけ伝染ってくることがある。というか,あえて,そんな風に発音することもある。

例えば,パブでビールをオーダーする時,ざわついているから聞き取りにくいのと,恐らくこっちの発音もあんまり良くないんだと思うが,聴きなおされることが時々ある。でも,

ペイル・エイル!

と注文するより,少しエとアの中間音くらいのつもりで,

パイル・アイル!

気味に発音した方が一発で通じる確率が高いような気がする。

そんなこんなで,すこーし伝染し始めているもんで,普段こっちの人達と会話していても,ときどき我に返って

やばっ!

と思う瞬間がある。なまったまま帰りたくはないんだけどねぇ。もうあんまり時間もないねぇ。

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